海馬皮質における視床入力情報処理回路の形態学的解析
Project/Area Number |
07252231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
石塚 典生 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経細胞生物学研究部門, 副参事研究員 (90126201)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | ラット / 海馬台 / 視床前核 / 前海馬台 / 脳梁後部皮質 / 嗅内野 / PHA-L |
Research Abstract |
ラット視床前核群(AD,AM,AV核)へWGA-HRPあるいはPHA-Lを注入し、視床投射細胞の分布と、視床からの投射線維分布を海馬長軸直交断面を使用して調べ、海馬台複合体および周辺皮質と視床前核群との相互結合様式を明らかにした。 AD核は顆粒性脳梁後部皮質(RSG)と、AM核は無顆粒性脳梁後部皮質(RSA)と相互結合が見られた。両皮質ともに、視床への投射細胞はVI層に分布し、視床からの投射線維はI、IV、VI層に分布した。AM核からはRSAの他に嗅内野へも投射があり、主として分離板直下に分布するほかI層、VI層にも標識終末が見られた。AD核からの投射軸索はRSGから後海馬台に連続し、さらに前海馬台外固有層の傍海馬台寄りに分布したが、RSAと傍海馬台へは分布しなかった。AV核は海馬台・前海馬台と相互結合を示し、視床投射細胞は海馬台錐体細胞層の最深部と前海馬台内固有層に分布した。またAVの背内側亜核は主として前海馬台のI層に、内外側亜核は前海馬台外固有層の中型細胞領域へ投射し、表層の小型細胞領域には投射軸索の分布がなかった。さらに、視床と海馬台との結合には両方向ともに局所対応が見られ、CA1寄りの海馬台とAV核の内側部、嗅内野寄りの海馬台とAV核の外側部との間に結合が強い。海馬長軸方向に見ると、両方向の投射に共通して、視床の吻側部が海馬長軸の側頭葉側と、尾側部が中隔側と優位な結合を示すことが解った。 本研究によって、海馬皮質にも大脳皮質領野と同様に、視床との直接相互結合のあることが明らかとなり、神経結合の観点から前海馬台外固有層は皮質のIV層に、海馬台深層はVI層に相当する部位であることが強く示唆された。これらにより、海馬体における視床入力情報処理回路と体性感覚野・視覚野での視床情報処理回路との比較が可能となる。このために今後、海馬台深層と前海馬台外固有層の内部回路の解析、前海馬台外固有層からの投射様式の解析などが必要となる。また、前海馬台外固有層には小型細胞と中型細胞が混在しており、視床前核入力の受容細胞、嗅内野投射細胞、アンモン角投射細胞などの識別も待たれる。そして、海馬台深層と前海馬台外固有層への神経終末が同一の視床細胞に由来するか否か、視床へ投射する海馬台細胞に視床からの神経終末が直接終止するかなどについても、電子顕微鏡的観察も含め、さらに解析が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)