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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
異常タンパク質をATP依存的に認識,分解する大腸菌のLonプロテアーゼ(プロテアーゼLa,サブユニットの分子量は87,000)の4次構造とプロテアーゼ活性の相関について調べた.生理的条件(pH7〜8,5mM MgCl_2存在下)ではホモ16量体として存在することを超遠心による分析(沈降速度法および遠心平衡法)で明らかにした.この16量体の沈降係数は35.8Sであった.さらに,pHおよびMgCl_2濃度を変化させて分析を行ったところ,4量体(沈降係数12.6S),8量体(沈降係数21.2S),16量体およびさらに大きな会合状態(おそらく32量体と思われる)の各状態の存在が見いだされた.これらの沈降係数は4量体を球状分子(計算値16.9S)とし8量体はこれが2つ結合したもの(計算値25.3S),16量体はこれが4つ平面的に並んだもの(計算値39.8S)とよく一致した.これら以外の会合状態(12量体など)は見いだせなかった.5mM MgCl_2存在下では,pH8以下で16量体,pH9で8量体,pH10以上で4量体が主成分であった.またpH8で比較するとマグネシウム濃度が0.5mM以下では32量体,2.5mMで16量体,10〜30mM程度で8量体,50mM以上で4量体が主成分であることがわかった.プロテアーゼ活性の至適pHおよび至適マグネシウム濃度を調べると,それぞれpH9,5〜20mMで,ともに8量体が主成分となる条件だった.さらに,光散乱の観察から,ATP添加により16量体の解離が生ずること,ATPase活性は失っているにもかかわらずペプチド分解活性を保持しているLon変異体ははじめから解離した状態であることを見いだした. 以上から,Lonプロテアーゼは細胞内では不活性な16量体として存在するが,異常タンパクの存在により何らかの信号を受けるとATP依存的に活性型の8量体に解離し,プロテアーゼ活性が出現するという機構が示唆される.
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