Research Abstract |
平成7年度の研究計画に従って構造特性異性を有する糖脂質糖鎖プローブの開発、体系化を推進するため,今までに得ている研究成果に立脚し,主に5動物門(節足,環形,袋形,触手及び腔腸動物),9綱(甲殻,昆虫,倍脚,貧毛,多毛,蛭,線虫,腕足及び花虫類),11種類の動物を材料として用いた。◎環形動物,貧毛綱Pheretima sp.(ミミズ)におけるmannose及びglucoseを含有したneogala系糖脂質の存在:中性糖脂質がneogala系(Galβ1-6Gal)であることは,既に,明らかにしているが,更にmannose及びglucoseを含有する新型のneogala系糖脂質の存在を見いだし,それらの構造をManα1-4Galβ1-6Galβ2-Cer, Galα1-6(Manα1-4)Galβ1-6Galβ1-Cer,Glcα1-4Galβ1-6Galβ1-Cer, Glcα1-4Galβ1-6Galβ1-6Galβ1-Cer及びGlcα1-4Galβ1-6(Glcα1-4)Galβ1-6Galβ1-Cerと決定した。又,両性イオン型糖脂質,cholinephosphory1→6Galβ1-Cer,cholinephosphory1→6Galβ1-6Galβ1-Cerに加えて,cholinephosphory1→6Galβ1-6Galβ1-6Galβ1-Cer及びcholinephosphory1→6(Manα1-4)Galβ1-6Galβ1-Cerの完全な単離,精製に成功した。◎環形動物,ヒル綱Hirudo nipponia(チスイビルにおけるisoneogala系糖脂質の存在:中性糖脂質には,微量ながらglucocerebrosideも存在するが,主要部分は(Galα1-6)nGalβ1-Cer(n=0〜3)のGala-6系であることを明らかにした。これらの糖鎖構造は,アノマー配置が今までに他の環形動物から見いだしているneogala系列とは異なって,isoneogala系(Galα1-6Gal)と称することができよう。◎袋形動物,線虫類Ascaris suum(ブタカイチュウ)におけるglycoinositolphospholipidの存在:既に,中性糖脂質,mono〜pentaglycosylceramidesがArthro系糖脂質に帰属することを報告しているが,主要な酸性糖脂質はイノシトールリン酸含有糖脂質であって,その構造はGal(α1-2)Inositolphosphorylceramideであると決定した。
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