脂質部分の修飾糖脂質の発現とその意義の解明に関する研究
Project/Area Number |
07259213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
賀佐 伸省 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10142712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷内田 洋一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00106486)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | グリオーマ / 糖脂質 / ガングリオシド / NMR / アセチル化 / セラミド / リポソーム |
Research Abstract |
特定の糖脂質糖鎖を認識する抗腫瘍モノクローン抗体は正常細胞では染色能が低下するが、その原因の直接的な解明はなされていない。申請者らの研究では、ラットグリオーマ(RG-2)組織からCerのC-3水酸基がO-Ac化されたGM3(O-AcGM3)が全GM3量に対して35%の比率で検出されたことより、O-AcCerを持つ糖脂質の癌における発現の機序や免疫化学的性状を明らかにして、本糖脂質が上記現象をもたらす因子たることを証明することを目的とした。O-AcGM3構造は分解法による方法では解析不能であり、精製の初期から1D-NMRを用いてその検出を行い、完全解析は1D-,2D-NMRとFAB-MSおよびGC-MSによった。O-AcCerを持つ複合脂質はO-AcGM3以外本組織から検出されず、O-AcGM3はメラノーマ細胞では検出されなかったが、ヒトグリオーマ細胞では検出された。これらのことはCerのO-Ac化がグリオーマおよびGM3に特異的な修飾であることを伺わせるが、他の癌組織を更に精査する必要があろう。O-AcGM3の糖鎖抗体に対する免疫学的な反応性は、ELISA系や薄層クロマト上の免疫染色法では非修飾GM3と変わりはなかったが、O-AcGM3/GM3が35:65(本組織における組成とほぼ一致)の組成比を含むリポゾームに対する糖鎖抗体-補体のLysis系では、O-AcGM3やGM3単体を含むそれらより有為に抗体との反応性が亢進していた。この亢進は、膜中にあって糖鎖を担うAc化Cer分子がGM3and/or O-AcGM3分子のクラスター形成能の亢進等の免疫応答性を高める何らかの役割を担っている可能性を強く示唆する。G3CerのAc化物が酵素学的な産物の可能性をグリオーマ及び正常ラット脳でGM3に至る生合成中間体を受容体として検討した結果、H2Cerのみがグリオーマで酵素的にAc化を受けた。このことおよび本組織ではGM3以上の長鎖ガングリオ系糖脂質は検出されないことから、グリオーマで発現するO-AcGM3は直接GM3分子がAc化されるのではなく、その生合成中間体の上流側で既にAc化されたものが代謝されてGM3分子に蓄積した可能性が高い。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)