ノックアウトマウスを用いたホメオテック遺伝子の標的遺伝子の同定
Project/Area Number |
07260208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
里方 一郎 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70170800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 聖 新潟大学, 医学部, 教授 (80108050)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | Msx1 / Msx2 / Bmp4 / Lef1 / MyoD / Syndecan / Hoxa10 |
Research Abstract |
私たちがこれまでに作成したホメオテイック遺伝子Msx1、Msx2、Hoxa10のノックアウトマウスを用いて、これらの遺伝子の標的遺伝子ないし下流遺伝子の同定を試みた。胎生12.5日から生直後のMsx1欠損マウスの臼歯の形成過程について、増殖因子Bmp4の発現をin situ hyridizationにより経時的に調べたところ、歯上皮のBmp4の発現は、野生型と同じように胎生12.5日頃より認められたが、直下の歯間葉での発現は全経過を通して全く認められなかった。一方、野生型の歯間葉でのBmp4の発現は、Msx1の発現が認められるようになる胎生13.0頃より認められた。また、最近報告された転写因子Lef1のノックアウトマウスの歯の発生異常が、Msx1欠損マウスの異常と全く同じであったことより、Msx1欠損マウスにおけるLef1の発現を調べたところ、野生型とは異なり、歯間葉での発現は全経過を通して全く認められなかった。Lef1欠損マウスの歯間葉でのMsx1の発現は、正常であった。in vitroでMsx1欠損マウスの歯間葉を培養し、ビーズにBMP4を付けて植え込むとLef1の発現を誘導できた。以上の実験結果より、歯の発生においては、最初に歯上皮からBMP4が放出され、このシグナルにより直下の歯間葉において、Msx1の発現が誘導され、このMsx1が、直接あるいは間接的にBmp4の発現を誘導し、産生されたBMP4がLef1の発現を誘導する、すなわち、歯上皮Bmp4→歯間葉Msx1→Bmp4→Lef1というシグナル経路が存在し、この経路により歯が形成されることが明らかにされた。毛嚢、乳腺の形成においても、上皮Bmp4→間葉Msx1およびMsx2→Bmp4→Lef1という、ほぼ、歯と同じシグナル経路が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。さらに、肢芽においても、上皮(頂堤)Bmp4→間葉(進行帯)Msx1およびMsx2→Bmp4という共通の経路の存在が発見された。Msx1およびMsx2は、この他に、心内膜床、妊娠子宮、下垂体などの上皮-間葉相互作用が認められる組織で発現しており、上述したシグナル経路と共通の経路が、各器官形成に際して機能していることが推測される。in situ hybridizationによるMsx1およびMsx2の下流遺伝子の探索では、この他に、体節Msx→MyoD、歯間葉Msx1→Syndecanの経路が明らかにされた(Cell投稿準備中)。Msx1、Msx2、Hoxa10のsubtractionあるいはPCR differential displayによる標的遺伝子ないし下流遺伝子の同定の試みについては、いくつかのクローンを単離した段階であり、現在、欠損マウスのRNAを用いたRNAse protection assayなどにより、確認の実験を行っているところである。今後、陽性クローンについて塩基配列の決定を行い、研究を進めていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)