Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本年度は、当初に計画した研究目的以上の成果をあげることができた。ES細胞での遺伝子操作技術の開発においては、新たな薬剤ピューロマイシンによる選択法を開発して、二重に遺伝子操作したES細胞より変異マウスを作製することに成功するとともに(BBRC,1995)、PCR法を用いた新たなジーントラップ法を確立し報告した(Tarnsgenic Res.,1995)。また、ジーンターゲティング法により学習・記憶関連分子であるNMDA受容体サブタイプの遺伝子欠損マウスを作製し、ε1で海馬長期増強の減少による空間学習の異常(Nature,1995)、ε4で自発的行動の低下(Mol.Brain Res.,in press)、δ2で小脳長期抑圧の減少による運動障害(Cell,1995)を明らかにし報告した。また、現在までに種々の行動異常を報告しているFyn欠損マウスについては、新たに聴覚性痙攣発作の異常(Mol.Brain Res.,1995)、学習行動過程での情動異常(Mol.Brain Res.,in press)を確認し報告した。現在までこのFynのタンパクレベルでの機能については不明な点が多く、現在までに明らかにされていない細胞内情報伝達系が想定されることより、本年度我々はこのFynに特異的なモノクローナル抗体を作製し、細胞内の局在について解析するとともに(J.Cell Biol.,1996)、この抗体を用いてマウス脳においてFynと結合する分子の単離を行った。現在、行動制御に関連すると予想される新規分子を4種同定することに成功し、解析を進めている。今後これら新規分子の解析により今までに明らかとなっていない哺乳類の学習・本能行動制御に関する新たな分子機構が解明されると期待している。
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