Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
昆虫の呼吸器である気管系は体内に広く分布した管状の上皮細胞のネットワークで,受動的な空気の拡散によりガス交換を可能にしている.気管の形成は外胚葉が陥入した袋状の前駆体が分枝し,となり同士の枝と融合してネットワークを形成する.融合する技の先端にはtip cellと呼ばれる細胞が同定されており,枝の伸展と融合に重要な役割を果たしていると考えられている. 融合におけるtip cellの役割を調べるため,融合の様子をtip cellに発現するEsgと細胞接着因子DE-カドヘリンをマーカーとして調べた.tip cellは融合に先立って擬足を相手方に向かって伸ばした.擬足同士が接触するとその界面にDE-カドヘリンが蓄積し,その後擬足が短縮すると共にtip cellの中を気管の内腔(lumen)が貫通して融合が完成した.上村らはDE-カドヘリンが気管の融合に必須である事を示している.従って融合に先立つDE-カドヘリンの蓄積が,気管ネットワークの形成という組織の構築に積極的に関与している事が明らかとなった. 次にtip cellの機能に対するEsgの役割を調べるためesgの変異体の表現型を調べた.esgのnull変異体では擬足の伸展と接触までは正常に進行するがDE-カドヘリンの蓄積は起こらず擬足は他の方向を目指して長く伸展して行った.Esgを熱ショックプロモーターを用いて強制的に発現させるとDE-カドヘリンはtip cellの接触面に蓄積し,気管の融合は完全に回復した.これらの結果はEsgがtip cellの接触の際の運動低下とDE-カドヘリンの蓄積に必須である事を示している.
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