神経分化の多様性とprospero 遺伝子による制御
Project/Area Number |
07262227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
松崎 文雄 国立精神神経センター, 神経研究所・遺伝子工学研究部, 室長 (10173824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中越 英樹 先がけ21, 研究員
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 神経 / 発生 / 転写因子 / ホメオボックス / prospero / 非対称分裂 |
Research Abstract |
prospero遺伝子は、神経系の幹細胞から非対称分裂により生じる2次前駆細胞で、一過的に機能するホメオボックス遺伝子であり、神経発生に必須な役割を果たす。この遺伝子の転写は幹細胞と二次前駆細胞とで等しく行われるにもかかわらず、翻訳産物は幹細胞の細胞核には見られず、2次前駆細胞の細胞核に局在するように観察される。我々は、このようなprosperoの転写と蛋白局在の非対称性について解析してきた。 prospero蛋白は神経幹細胞で翻訳されているが、核には決して移行せず、細胞周期の進行に伴いダイナミックに細胞内で局在を変える。神経幹細胞で合成されたprosperoは、細胞分裂に伴って娘細胞の一方にのみ分配され、そこで機能することが明らかになった。この不等分配の分子機構を解析する第一歩として、不等分配に働く機能ドメインを決定したところ、中央部分の120アミノ酸からなる領域('非対称'領域)にその活性があることが分かった。非対称領域のなかで、32アミノ酸からなる極めて限定された領域だけがこの活性に必須である。prosperoタンパク質と同様に不等分配されるnumbタンパク質にも、この必須な領域に相同な配列が見い出されることから、これら二つの分子は同じ機構によって非対称に分配されるのかも知れない。細胞が増殖しながら多様な細胞が形成される発生において、細胞分裂により異なる二つの細胞が生まれる非対称分裂は最も基本的な過程である。prosperoは、細胞分裂に伴い非対称に分配される転写因子の最初の例であり、二つの娘細胞が異なる遺伝子発現をするために、転写因子が一方の娘細胞だけに分配されるという新しいメカニズムの存在する事を明らかにすることができた。prosperoの非対称分配は、外胚葉の神経系以外に内胚葉でも観察されることから、この機構が発生にひろく機能すると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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