ADF(ATL由来因子)/チオドレキシンの脳内発現と神経細胞死-急性および慢性虚血脳での脳保護作用-
Project/Area Number |
07264222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋口 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30115779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (20231475)
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Project Period (FY) |
1995 – 1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ADF / TRX / 遅発神経細胞壊死 / 脳虚血 / アストログリア / フリーラジカル |
Research Abstract |
ADF/TRXは、ヒト成人型T細胞白血病患者から確立されたT細胞株の培養上清に発見された分子量14,000ダントンのタンパク質であるが、大腸菌のチオレドキシン(TRX)と高い相同性があり過酸化水素を捕捉する作用がある。また、虚血再灌流後の脳海馬では虚血感受性部位で星状グリア細胞にADF/TRXが発現することから、虚血性神経細胞死に対する保護効果の可能性が示唆されている。我々は昨年度までの検討でリコンビナントADF/TRXが腹腔内投与では神経細胞保護効果を示さないことを明らかにしている。本年度はADF/TRXの脳室内投与による保護効果について検討した。雄性砂ネズミの側脳室内にリコンビナントADF/TRXを1μl投与し、1群;ペントバルビタール麻酔(25mg/kg)+人工脳脊髄液(n=5)、2群;同+ADF/TRX20μg(n=6):3群;同+ADF/TRX200μg(n=5)とした。ペントバルビタールによる虚血への影響を考慮したハロセン麻酔による系列として4群;ハロセン麻酔+人工脳脊髄椎液(n=6)、5群;同+ADF/TRX4μg(n=5)、6群;同+ADF/TRX20μ(n=8)、7群;同+ADF/TRX200μg(n=2)を加えた。50分後にエーテル麻酔下に10分間の両側頸動脈結紮を行い4日間生存後灌流固定し脳を取り出しパラフィン包埋した。術中の直腸温は36.5-37.5度の間に維持した。海馬の冠状断切片を作製し、Kluver-Barrera染色後単位長当たりの錐体神経細胞数を算出した。20μg投与の2,6群で残存神経細胞数は各々134.5+/-74.2,131.8+/-77.2と、人工脳脊髄液投与の1群(33.2+/-24.4),4群(20.6+/-12.9)と比べ有意に多く、ADF/TRXによる遅発神経細胞壊死の抑止効果が認められた。一方、200μg投与の3、7群では有意な増加を認めなかった。以上より遅発神経細胞壊死に際して発現するADF/TRXは細胞保護的に作用している可能性が示された。 今後、活性中心を持たないミュータントADF/TRXを対照群とし、ヒトの脳梗塞に近似する局所脳虚血モデルでADF/TRXの細胞保護効果の有無を調べる予定である。また、投与群・非投与群についてADF/TRXの発現部位の差を細胞内レベルも含めて検討する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)