脳虚血時に発生する選択的神経細胞死の分子機構の究明-細胞死に際し見られる遺伝子発現の意義とアポトーシスの関与について-
Project/Area Number |
07264224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳原 武彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70243201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 智 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
北川 一夫 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
上田 周一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 助手 (20192346)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | Cerebral Ischemia / Immunohistochemistry / microtubules / immediate early gene / neuronal death / selective tissue vulnerability / hypoxia / reoxygenation / gerbils |
Research Abstract |
近年、脳虚血にともなって発生する選択的神経細胞死にアポトーシスが関与する事が報告されている。アポトーシスの指標として部分欠失を生じたDNAを組織切片上で認識するTUNEL法が広く用いられている。本研究ではマウス中大脳動脈閉塞モデルにおいて、神経細胞が死滅するまでの間に細胞内に発生する生化学的変化のうち、細胞核DNA分解と細胞骨格タンパク質である微小管結合タンパク質2(MAP2)の崩壊に注目し、その経時的変化をTUNEL法及び免疫組織化学染色法を用いて検討した。中大脳動脈閉塞1-2時間後より虚血領域の一部にMAP2の免疫反応の低下した領域を認め、閉塞6時間後には線条体全体での、12時間後には皮質を含む虚血領域全体でのMAP2の分解、脱落を認めた。一方、TUNEL法で認識される核DNAの分解は中大脳動脈閉塞6時間後に線条体の一部の領域に認め、12時間後には皮質でも検出可能となり、24時間後から4日後にかけて虚血領域すなわち梗塞に陥った領域で顕著に認められた。すなわち本モデルでは細胞骨格タンパク質の分解が核DNAの分解に常に先行する事が明らかとなった。また血液脳関門障害に起因する血清アルブミンの漏出はMAP2の脱落より遅れるものの、TUNEL法で検出される核DNAの障害よりは先行する事も明らかとなった。さらにアポトーシス抑制遺伝子bcl-2を脳内で過剰発現させたトランスジェニックマウスとそのコントロールマウスであるlitter mateに中大脳動脈閉塞を施行し、発生する梗塞サイズの比較を行ったが、両群間に有意な差異を認めなかった。今回の検討からマウス中大脳動脈閉塞により発生する脳梗塞、神経細胞死におけるアポトーシスの関与は明らかとならなかった。TUNEL法は核DNAの欠失を検出する方法であり、アポトーシスのみならず壊死による細胞死に際しても陽性となりうるため、本法をアポトーシスの評価に用いるには他の細胞内生化学的マーカーとの詳細な検討、比較が必要と考えられる。今後さらに虚血再灌流モデルや他の動物種(ラット、砂ネズミ)における検討も必要と考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)