中枢神経系の発生におけるbcl-2遺伝子の機能の解析
Project/Area Number |
07264227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵口 豊 大阪大学, 医学部, 助手 (20243206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 賀英 大阪大学, 医学部, 教授 (70132735)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 神経細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / Bcl-2 / Bcl-x / 小脳顆粒細胞 / ICE / 活性酸素 |
Research Abstract |
神経特異的イノレースのプロモーターを用いたbcl-2トランスジェニックマウスとbcl-2ノックアウトマウス及び野性型マウスから調製した小脳顆粒神経細胞は、カリウム濃度変化や各種薬剤処理、栄養因子除去等により誘導される神経細胞死に対してBcl-2量に依存して抵抗性を示すことを明らかにした(投稿準備中)。このことは、正常レベルの発現量のBcl-2が神経細胞死を阻害することを示している。1993年にBcl-2がAntoxidantとして働くことにより細胞死を抑制するという仮説が発表されたが、我々は、低酸素条件下で誘導される細胞死とそれに対するBcl-2の機能を検討し、Bcl-2がAntioxidantでないことを証明した(Nature,1995,374,811-813)。7316A細胞株やPC12細胞株は低酸素条件下で48時間培養すると約半数の細胞が細胞死を起こす。これらの細胞にBcl-2又はBcl-xLを発現させると、この細胞死は抑制された。ESR spin trap法により低酸素条件下では活性酸素量は検出限界以下であることが明らかとなり、活性酸素スカベンジャー(N-acetylcysteine)及び活性酵素スカベンジャー阻害剤(diethyl maleate)を加えても、Bcl-2、Bcl-xLの存在、非存在にかかわらず、この細胞死は全く影響を受けなかった。以上の結果は、Bcl-2は活性酵素を介さない機構で細胞死を抑制することを示している。Bcl-2が細胞死を抑制する分子機構を解析するために、我々はBcl-2が細胞内で局在する各小器官における機能の解析を試みた。Bcl-2は核の外膜や小胞体膜の他、ミトコンドリア膜に局在する。ミトコンドリアに直接傷害を与えるため、PC12細胞株を2.5mMKCNのその他や呼吸鎖阻害剤rotenoneやantimycinAにより6時間処理すると約半数の細胞が細胞死を起こす。この細胞死は、電子顕微鏡観察、蛍光顕微鏡観察により、ネクローシス様の細胞死であることが判明した。この細胞にBcl-2又はBcl-xLを発現させると、KCNにより誘導される細胞死は抑制された。アポトーシスの誘導反応に必須であると考えられるICE Protease及びそのホモログの阻害剤であるCmAやICE Inhibitorでも、これらの薬剤により誘導されるネクローシス様の細胞死が抑制された。15EA02:以上の結果は、これまでアポトーシスに特異的に作用すると考えられてきたBcl-2やICE Proteaseは、形態学的にネクローシスと判断される細胞死の少なくとも一部には関与することを示しており、その作用点の反応は、アポトーシスとネクローシスに共通する反応であると考えられる(Oncogene, in press)。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)