プラナリアとナメクジウオを用いた脳の形態進化と分子進化との連関の解析
Project/Area Number |
07265227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿形 清和 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (70167831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 金也 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70191111)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | プラナリア / 脳 / 頭部形態形成遺伝子 / ナメクジウオ / 進化 |
Research Abstract |
近年、種々の形態形成関連遺伝子(Otx,Emx,Pax,Wnt,BF-1,Tlx等)の発現パターンから脊椎動物の脳に分節構造があることが明らかにされてきた。しかし、いつごろ・どのようにして頭部領域において脳の分節構造が進化したか、また形態形成関連遺伝子の分子進化とどのように関連しているのかは未だ解明されていない。そこで、本研究では、プラナリアとナメクジウオを用いて、脳の形態学的観察を詳細に行なうとともに、それらの動物において脳の形態形成関連遺伝子がどこまで進化しているのかを明らかにすることを目的に研究を行った。本年度においては、 (1)脳の形態学的な観察について 〈プラナリア〉プラナリアの神経細胞に特異的に発現するPC2遺伝子のクローニングに成功し、これをプローブに用いたin situ hybridizationから、プラナリアの脳には形態的な分節構造があることを明らかにした。また、視神経に特異的な抗体を用いた解析から、眼の視神経が特定の分節に投射していることを明らかにした。すなわち、プラナリアにおいて、すでに形態的にも機能的にも脳に分節構造があることを示すことができた。 〈ナメクジウオ〉中国の青島で採集したナメクジウオ胚を用いて、抗ニューロフィラメント抗体によってナメクジウオ神経系を解析したが、従来からいわれているようにナメクジウオ頭部の神経系に特に分節構造は見出されなかった。 (2)脳の形態形成関連遺伝子のクローニングとその発現パターンの解析について 〈プラナリア〉プラナリア頭部cDNAよりOtx,Otp,Plx,BF-1遺伝子のPCR断片をクローン化することに成功した。また、Otx遺伝子については、そのcDNA全長クローンをcDNAライブラリーよりクローニングにすることに成功した。現在全塩基配列の決定を行なっている。また、全長クローンをプローブに用いてのin situ hybridizationを行い発現部位の同定を行ったが、再現性の高い結果はまだ得られていない。 〈ナメクジウオ〉ナメクジウオ胚のcDNAよりOtx,Emx,Tlx,Plx遺伝子のPCR断片のクローニングに成功した。PCR断片をプローブに用いてin situ hybridizationを行ったが明瞭なシグナルは得られなかった。 以上の結果は、脳の分節構造とそれを制御すると考えられる形態形成関連遺伝子はプラナリアというかなり原始的な動物から獲得されていた可能性を示唆しており、脳の形態および機能の進化は、形態形成関連遺伝子の複雑化によって引き起こされたと考えるより、それらの遺伝子の支配下に新たな細胞増殖関連遺伝子や成長因子遺伝子群がリクルートされて脳の進化が行なわれてきたのではないかという考え方を提供した。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)