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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
出芽酵母の細胞質分裂の起こる位置は出芽部位に相当する。出芽形成と出芽部位の決定機構とは、密接に関連しており、出芽部位においてタンパク質複合体(出芽部位複合体)が形成されることにより、芽の形成そして細胞質分裂のための装置の集合がなされると考えられている。酵母の出芽形成にはCDC42とRHO3などの低分子量GTP結合タンパク質が正に制御していると考えられる。SH3ドメインを持つ蛋白質BEM1は、過剰発現することによりrho3欠損を抑圧する作用があるばかりでなく,芽形成のために重要な因子らと相互作用し、出芽部位複合体形成の中心的な働きをする因子と考えられる。BEM1と結合する蛋白質(BOI2)を新たに同定,解析した。BOI2は、SH3ドメインに結合し,このSH3は、BEM1機能に重要であることがわかった。塩基配列より,構造的ホモログBOI1を見い出し,遺伝学的解析より、BOI1とBOI2は、機能的に重複し,BOIは、酵母の芽の成長に重要な働きをしていること,また、BOI機能が、減衰した細胞では、細胞質分裂の位置決定に異常が生じることを明らかとした。boi欠損株とrho3欠損株の表現型は酷似しており、また,BOI機能の欠失は、RHO3の過剰発現により抑圧されることより、BOIとRHO3は、芽の形成に密接に関連して機能していると考えられる。 酵母の芽の形成には、出芽部位複合体が形成、発展、再構成されていくことで、出芽部位の決定、出芽開始、芽の成長、細胞質分裂という一連の過程が進行すると考えている。BEM1は、出芽開始に関与する因子であるにもかかわらず、芽の成長に関与するBOIにより制御をうけていることを示唆する結果が得られた。また、BOI機能とRHO3機能は密接に関連していた。これらのことは、出芽部位複合体の発展、再構成の機構を解析する上で重要な知見であると考えている。
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