Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
本研究は造血幹細胞とこれに由来する前駆細胞の生存および分化に対する神経成長因子の関与と影響を明らかにしようとするもので,1)マウス造血幹細胞株(FDCP-mix),骨髄より採取した濃縮した造血幹細胞,前駆細胞株(FDCP-1およびFDCP-2など)および分化を終了した細胞(各種血液細胞など)における神経成長因子レセプターの発現と存在証明,2)神経成長因子によるこれらの細胞に対するアポトーシス抑制作用並びに分化誘導作用の有無とその作用機序の解明を目的に実験を行い,以下に示す知見を得た。 1)神経成長因子レセプターにはp75とtrkAとが存在するが,マウスの造血幹細胞株および前駆細胞株には,trkAのみが発現していることが判明した。 2)ヒト臍帯血より採取したCD34陽性,c-kit陽性細胞には神経成長因子レセプター(trkA)が存在し,神経成長因子の添加によって,結合組織型マスト細胞(トリプターゼ,キマ-ゼ陽性)に分化し,神経成長因子が造血幹細胞からのマスト細胞分化誘導因子であることが示唆された。 3)ラット腹腔マスト細胞への神経成長因子の添加は,マスト細胞のアポトーシスを明らかに抑制し,この際stem cell factorのように,増殖誘導活性を示さないことが判明した。従って神経成長因子は,造血幹細胞に対してもアポトーシス抑制作用のある可能性が推測された。現在,この点の解明を目指している。
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