発がんの原因となる染色体異常に関与する遺伝子の探索と解析
Project/Area Number |
07272208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 日出男 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012775)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | 染色体異常 / 非相同的組換え / X線感受性 / Ku抗原 / recQ遺伝子 / ATM遺伝子 / Bloom症候群 / エトポシド |
Research Abstract |
本研究では発がんの原因となる事の多い染色体異常が生じるメカニズムを解明するために、染色体異常を引き起こす非相同的組換え、相同性のほとんどないDNA領域間で起こる組換え、について研究を行った。特にモデル系として出芽酵母、分裂酵母を材料にして、これらの材料を使う最大の利点である遺伝学的手法を用いて解析を進め、下記の成果を得た。 1)哺乳動物細胞のX線感受性や、抗体産生におけるV(D)J組換えに関与するKu抗原と染色体異常との関連を明らかにするために、我々が作製した出芽酵母における非相同的組換えを調べるプラスミドの系を用いて、出芽酵母のKu抗原のホモログをコードするHDF1遺伝子の変異の非相同的組換えに対する影響を調べた。その結果、hdf1変異株では組換え頻度が約1/20に低下する事がわかり、Hdf1が非相同的組換えに関与する事が明らかになった。また、recQ遺伝子のホモログであるSGS1遺伝子の変異の影響を調べたところ、sgs1変異株では約10倍高い頻度で非相同的組換えが起こる事が分かった。昨年、高い頻度でがんを引き起こすAtaxia telangiectasisの原因遺伝子(ATM遺伝子)が同定され、Ku抗原をサブユニットするDNA依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニットと相同性を持つキナーゼである事が明らかにされた。一方、染色体異常が高頻度で起こるBloom症候群の原因遺伝子が大腸菌のrecQ遺伝子のホモログである事も明らかにされた。出芽酵母におけるKu抗原のホモログ、大腸菌のrecQホモログの非相同的組換えにおける機能をあきらかにする事により、これらの遺伝病の原因遺伝子の機能の理解が進むと考えられる。 2)DNAトポイソメラーゼ阻害剤エトポシド(VP16)は抗がん剤として使用されているが、エトポシドによって引き起こされる染色体異常が大きな問題になっている。我々は出芽酵母を用いて実際に染色体上で起こる非相同的組換えを調べる系を作製し、エトポシドが染色体上の非相同的組換えを誘発することを明らかにした。 3)X線感受性に関与する遺伝子には染色体異常に関与するものが多く見つかっているため、分裂酵母のX線感受性に関与するrad遺伝子の一つであるrad21遺伝子の機能を調べる事を目的に、rad21遺伝子の高温感受性変異株を単離して調べたところ、有糸分裂のM期の染色体分配に異常が見られ、Rad21は染色体分配に関与する事が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)