チロシンリン酸化酵素関連分子の遺伝子ターゲティング法によるがん化分子機構の解析
Project/Area Number |
07273271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
八木 健 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (10241241)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
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Keywords | Fyn / p53 / ジーンターゲティング / 胸腺腫 / 発がん / Src / T細胞 / チロシンリン酸化酵素 |
Research Abstract |
1.p53とFynの二重遺伝子欠損マウスの作製とその解析: 遺伝子ターゲティング法により得たp53とFyn欠損マウスの交配により、p53とFynを二重に欠損させたマウス作製を行った。その結果、p53欠損マウスでは全個体(20例)が生後7ヶ月齢までに全てがん発症により死亡したのに対し、p53とFynを二重に欠損させたマウスではがんの発症が6ヶ月齢をすぎても認められず、p53欠損によるがん発症特に胸腺腫発症にFynが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。p53欠損による胸腺腫においてFynが過剰発現してがん化を引き起こすことが考えられたが、Fynの発現はむしろ胸腺腫細胞では減少していた。また、Fyn欠損個体では約1/10が突然死するが、興味深いことにp53とFynを二重に欠損させたマウスではこの傾向が高まり、7ヶ月齢までに約半数の個体が突然死した。 2.抗Fynモノクローナル抗体の作製: 我々は本年度、新たにFynに対するモノクローナル抗体を作製することに成功し、その抗体を用いてプロB細胞中での細胞増殖、分化過程におけるFynの局在を西川等との共同研究により明らかにした。その結果、Fynが細胞増殖の際に収縮環や紡錘体上に存在していることを明らかにした。また、Fyn欠損プロB細胞ではIL-7増殖下において細胞分裂が収縮環がくびれる際に止まることが明らかとなり、実際に細胞増殖過程でFynが機能していることが確かめられた。 3.Fyn結合分子の解析: Fynが実際にがん発症や細胞増殖の際にどの様な細胞内情報伝達系と関連し機能するかを明らかにする目的で、Fynと結合する分子の単離を行っている。FynのSrcファミリー間で保存されていない領域、SH2、SH3と結合する分子を酵母2ハイブリッド系を用いて単離した。その結果、現在までにSrcファミリーと結合することが報告されているhnRNPが得られた他、4種類の新規分子の単離に成功した。現在解析を進めている。 本研究により、チロシンリン酸化酵素のFynが実際のp53欠損によるがん発症に関連することを明らかにすることができた。今後の解析により、がん発症の初期過程での分子機構の解明が期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(17 results)