Project/Area Number |
07274213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 康之 東京大学, 薬学部, 助手 (80160034)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 腫瘍関連抗原 / Tn抗原 / マクロファージ / 実験的肺転移 / MMGL / レクチン |
Research Abstract |
癌細胞においては、細胞表面糖鎖の生合成が不完全な形で停止する現象がしばしば認められている。O-結合型糖鎖の伸長不全によるTn抗原の発現もその一つで診断上の価値が認められているが、癌細胞の生体内での振る舞いや免疫系による捕捉性にどう影響を与えるかといった、細胞生物学的見地からの取り組みは未発達な分野である。O-結合型糖鎖の伸長を阻害するbenzyl-GalNAcでマウスマストサイトーマP815細胞を処理しTn抗原の発現を増加させると、糖鎖認識分子であるマクロファージレクチン(MMGL)を介して、マクロファージに対するaccessibilityが高まることを見いだしてきた。この知見を生体内でのマクロファージによる癌細胞の捕捉性と関連づけるため、本研究ではマウス卵巣癌OV2944-HM-1細胞(HM-1細胞)を用いた実験肺転移モデルを使って、MMGLによるTn抗原の認識と癌細胞の生体内での挙動との関係について調べた。HM-1細胞をbenzyl-GalNAc処理すると可溶性の組換え型MMGL(rML)の結合性が上昇した。しかし、薬剤処理による効果は可逆的であることが分かっていたため、ビオチン化した組換え型MMGL(rML)を用いてセルソーターで繰り返し選択したHM-1細胞の亜株を利用した。rML結合性の高い亜株HM-1(+)は、低い亜株HM-1(-)と比べ、VVAB_4により検出されるTn抗原の量が多かった。一方、亜株間で試験管内での細胞増殖の速度に差がなかった。HM-1細胞の亜株を同系のC57BL/6xC3H/HeNF_1マウスの尾静脈より移植し、形成された肺転移結節数を調べた。HM-1(-)細胞が転移結節を作るのに対し、HM-1(+)細胞はほとんど転移結節を作らなかった。これらの結果から、MMGLを介したマクロファージによる癌細胞の捕捉性は、卵巣癌細胞の実験的肺転移に対して抑制的な要因として働き、癌細胞に対する自然免疫の一端を担っていることが示唆された。
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