Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
Fasを介するアポトーシス誘導のシグナル伝達糸と、そのシグナルを阻害する細胞内分子機構を解析し、以下の諸点を明らかにした。1.Fasを介するアポトーシス誘導刺激で特異的に活性化されるプロテインキナーゼを精製し、部分アミノ酸列配を決定した。そして、これが酵母STE-20のファミリーに属する哺乳類のプロテインキナーゼMST/Krsであることを明らかにした。また、クローニングしたMSTのcDNAを発現させる実験によって、分子量55kDaのMSTがアポトーシス誘導時にカスパーゼの作用によって切断され、分子量34kDaの活性化したキナーゼとなることを明らかにした。2.がん化していない線維芽細胞マウス3T3を用いて、Fasを介するアポトーシス誘導シグナルに抵抗性を与えるcDNAを発現クローニング法でクローニングした。その結果、がん遺伝子c-K-rasが線維芽細胞でFasを介するアポトーシス誘導シグナルを抑制することを明らかにした。また、活性化型ras(ras12V)は、より強い抵抗性を与え、ドミナントネガティブのrasであるras17Nを発現させると、Fasを介するアポトーシス感受性が高まった。一方、癌化した細胞株jurkatではc-K-rasはFasを介するアポトーシスを抑制できなかったが、活性化型のras12Vは抑制活性を示した。rasが活性化して癌化した細胞では、細胞傷害性T細胞が誘導するFasを介するアポトーシスに抵抗性を示すことが明らかとなった。
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