自然耐性ヒト癌の耐性機構の解明とCPT-11耐性遺伝子を応用した遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
07274273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
安藤 俊夫 創価大学, 工学部, 教授 (20012693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 保行 実験動物中央研究所, 腫瘍研, 研究員 (70201382)
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Project Period (FY) |
1995 – 1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | DNAトポイソメラーゼ / CPT-11 / VP-16 / 化学療法 / 耐性 / SN-38 |
Research Abstract |
癌の化学療法の最大の問題点は癌の薬剤耐性と患者への副作用である。特に癌の自然耐性と再発時にしばしば見られる獲得耐性である。多くの耐性機構の研究から、そのメカニズムが明らかにされてきた。すなわち、薬剤の細胞内への蓄積・代謝・排出能の変化や標的酵素の変化である。これらの研究のほとんどはin vitro樹立株についての研究であり、患者体内での癌の自然耐性や獲得耐性の研究は少ない。そこで本研究はこれらのin vivoにおける耐性に注目し、そのメカニズムを明らかにし、その克服法を案出することを目的とする。 まず、自然耐性の一例として、CPT-11に対する感受性の異なる大腸がん株2株Col1(感受性,S)とCol5(耐性,R)の担癌マウスにCPT-11を投与し腫瘍内へのCPT-11の取り込み、SN-38の代謝活性化とそれらの腫瘍外への排出能を調べた。またトポI、トポII、MDR-1のmRNAの発現量を調べた。その結果、Col1ではCol5に比べてトポIの発現量は低くトポIIの発現量は高かった。これはCPT-11やVP-16に対する感受性はその標的酵素や多剤耐性因子MDR-1の発現量によっては説明できないことを示している。 そこで、両株細胞の担癌マウスにCPT-11を投与し、その腫瘍への取り込み、SN-38への代謝活性化、及びそれらの腫瘍外への排出速度を比較した。その結果、CPT-11の取り込みは両株で差はなかったが、その排出能は耐性株で著しく上昇していた。SN-38の消長もほぼCPT-11と同様であった。この結果はVP-16に対する逆転した感受性を考慮すると、いわゆる多剤耐性とは異なるCPT-11(SN-38)に特異的な排出機構があり、耐性株Col5ではそれが亢進していることを示している。そのメカニズムに関する今後の検討が待たれる。 ヒト膵癌のCPT-11に対する自然耐性株PAN-13と感受性株PAN-9についても前項と同様の実験を行い腫瘍内の薬剤の消長を調べた結果、CPT-11の取り込みと排出において両株の間には有意な差は見られなかった。 以上の結果、ヒト癌、特に大腸癌の自然耐性の重要な要因の一つが明らかにされた。今後、この現象が一般化できるか、どういう克服法があるか、等検討する必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)