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¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は細胞内オルガネラである筋小胞体に存在するクロライドチャネル,I_<C1>,の機能と細胞内調節機構を解明する事を目的とする。本年度は既知のクロライドチャネルであるcystic fibrosis transemembrane regulator;CFTRとの機能及び構造の類似性を明らかにするために以下の研究を行った。牛の左心室より筋小胞体濾胞を分離抽出し、これを平面脂質二重膜へ融合したクロライドチャネルを再構成し、電圧固定実験で単一チャネル電流記録を行った。チャネルの孔のイオン選択性をCl^-をBr^-,I^-,F^-,NO_3^-等の単一チャネルのコンダクタンスを求め検討した。同一アニオンをcis液とtrans液に用いた時、チャネルの逆転電位は何れも+60mVであり、Nernstの理論式にほぼ一致し、このチャネルは純粋なアニオン選択性チャネルであることが示された。チャネルコンダクタンスはCl^-,Br^-で大であり、I^-,F^-及びNO_3^-では小であった。またこれらのイオンのCl^-に対する透過性を検討するためにtrans液のCl^-は一定にしてcis液のみをBr^-,I^-,F^-,NO_3^-等に置換して、それぞれの逆転電位を求めGoldman-Hodgkin-Katzの式よりCl^-に対する透過性(P_<anion>/P_<Cl>)を求めた。イオン透過性の順番はBr^- > Cl^- > I^- > NO_3^- > F^- であり、Eisennmannの式の(3)に相当する。この結果は細胞膜に存在する気管上皮や心筋のCFTRと一致していた(Science 253,1991,Nature 360,1992)。以上よりI_<Cl>のイオン選択性はCFTRと同一であり、チャネルの孔の部分の構造の類似性を示唆した。それに加えて、両者の電気整理学的共通点として(1)cyclic AMP依存性燐酸化により活性化されること、(2)電位非依存性である。(3)Ca^<2+>非依存性(Circ Res 71,1992)などが挙げられ、I_<Cl>は機能的にCFTRと非常に類似点が多い事が解った。従って、次に両者の構造上の類似点、相違点を明らかにするためにCFTR抗体を用いてウェスタンブロットで検討した。CFTRのRドメインとN末端に対するモノクロナール抗体を筋小胞体標本に反応させると、両抗体に反応する特異的なバンドが各々200kD付近に認められた。尚、この反応はheavy SRのみでなくlight SRの両者に認められた。以上の結果より、SRのI_<Cl>はCFTRと同一のRドメインとN末端を有していることが示され、構造的にもCFTRと類似していることが推測された。
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