Project/Area Number |
07277213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清野 宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10271032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 隆親 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80228824)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 粘膜免疫機構 / 粘膜ワクチン / 粘膜系Th1 / Th2型細胞 / 分泌型IgA / HIV / LT / 粘膜免疫調節因子 / 粘膜アジュバント |
Research Abstract |
本研究計画ではHIVに対する粘膜ワクチン開発に向けて、粘膜免疫機構の基礎的解明の立場から新しい情報を提供する事を目的としている。 初年度は、効果的に抗原特異的粘膜免疫を誘導するのに不可欠な粘膜免疫調節因子として注目を浴びている大腸菌由来のHeat-labile toxin(LT)の分泌型lgA誘導の為の粘膜バリアーシステムへの影響について分子・細胞レベルで解析を加えた。 つまりHIV特異的粘膜免疫応答を誘導するにあたり、LTが抗原、粘膜免疫調節因子もしくはアジュバントとして、どの様な機構を介して作用するかを検討した。まず最初に異なるハプロタイプのマウス群〔例BALB/c(H-2^d)、C57BL/6(H-2^b)、C3H/HeN (H-2^k)〕に0-25μgのLTを経口投与し、同抗原(例LT-B)に対する抗原特異的免疫応答をELISA法で調べると、25μgを投与された前者2群のマウスにおいて顕著な抗原特異的分泌型IgAと血液型IgCが誘導された。IgEについて検討を加えてみると、似た様な免疫生物学的作用を有するコレラ菌由来の毒素CTに比較して、抗原特異的IgE誘導がほとんど認められず同アイソタイプ抗体による副作用の可能性が少ない事が示唆された。血清中のIgGサブクラスについて検討してみると、LT-B特異的IgGlが最も高く、その後IgG2aとIgG2bがほぼ同レベルで誘導されており、サブクラスのパターンからTh1型(例IgG2a)とTh2型(例IgG1/IgG2b)両者の反応が誘導されている事が示唆された。それを裏付ける様にLT-B特異的Th細胞によるサイトカインの産生プロファイルをmRNAとタンパク両レベルで調べると両者サイトカインつまりIFN-γ(Th1型)とIL-4、IL-5(Th2型)の産生がLTを経口免疫したマウスより分離した粘膜系と全身系CD4^+T細胞の解析により認められた。つまりLTを経口投与する事により、Th1型とTh2型CD4^+T細胞を粘膜系/全身系両免疫機構に誘導し、その結果として分泌型IgA、血清型IgG1、IgG2a、IgG2b免疫応答が惹起され、二段構えの免疫が構築される可能性が示唆された。さらに分泌型IgA、血清型IgGに代表される液性免疫だけでなく経口投与されたLTによりTh1型や傷害性T細胞を中心とする細胞性免疫も誘導されている事が予想される。HIV用ワクチンを考慮すると、細胞性、液性両者の免疫を成立させる事が必要であり、LTによる抗原特異的傷害性T細胞を中心とする細胞性免疫の誘導についても検討をさらに加えていく必要がある。この点に関しては、現在当研究班において実験を進めている。
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