脊椎動物中枢神経系における背部領域の可塑的な決定のしくみ
Project/Area Number |
07278241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 淑子 北里大学, 理学部, 講師 (10183857)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 神経管 / 脊椎骨 / Splotch / Msx / 無脳症 / 形態形成 |
Research Abstract |
ヒトにみられる先天性無脳症及び脊椎骨二分裂症のモデル動物とされるSplotchマウスは、後脳部及び尾部においてその背側で神経管が閉じず、また体の背中側では脊椎骨の形成が異常になるなど、様々な中枢神経系・脊椎骨の形成不全が認められる。報告者は神経発生とそれに伴う脊椎骨の形成機構を分子レベルで解明するために、Splotchマウスを実験材料として用いて研究を行った。Splotchマウスは転写因子であるPax-3遺伝子の欠損によって引き起こされることが最近になって明らかになった。Pax-3は正常発生の過程で、神経管内において背側半分の領域でのみ発現する。つまりSplotchにみられる神経管の形成不全は、神経管の背側で作用すべきPax3の機能欠損が直接の原因であることが考えられる。しかしながらこのPax-3遺伝子が神経管内でどのような機能、役割を担っているかについては全く不明であった。報告者はまず、他の転写因子であるMsx2遺伝子が神経管内においてPax3と同様の発現様式を呈することを見出した。このことから、Pax3とMsx2は密接な関係にある可能性が示唆された。このことを検証するために。Pax3欠損マウスSplotchにおけるMsx2の発現を解析した。その結果、Splotchマウス内の神経管背側領域において特異的にMsx2遺伝子の発現量が有意に低下していることがわかった。これらの結果からMsx2遺伝子はPax3遺伝子の下流に位置することが明らかになり、またSplotchマウスにみられる神経管の形成不全は、Pax3の機能欠損が引き金となってMsx2遺伝子が正常に機能していないことが原因である可能性が強く示唆された。さらにこれらの発見と報告者のこれまでの研究による知見とを総合すると、Splotchマウスにみられる脊椎骨形成不全は、神経管内のMsx2遺伝子の異常発現による相互作用の欠陥が原因である可能性が極めて高くなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)