Project/Area Number |
07279215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | シナプス / 海馬 / 発達 / スパイン / 神経栄養性因子 |
Research Abstract |
脳の根幹的機能の獲得は、「臨界期」とよばれる幼児期の間に完了しなければならないと言われている。この臨界期は、脳においてシナプスという神経結合が最も発達、成熟する時期と一致しているので、このような発達期の基礎学習には、正しい神経刺激のもとでのシナプスの分化・発達・成熟が必要だとされている。これまでシナプスの発達の分子機序に関しては、末梢部の筋・運動神経接合部シナプスでの理解が最も進んでいて、筋細胞と神経細胞間でやり取りされる数種類の成長因子、神経栄養性因子がこの部位でのシナプスの発達・成熟を制御しているとされる。中枢神経系におけるシナプスの分化・発達・成熟も、様々な成長因子、神経栄養性因子が関与していると予測されるが、その実態はほとんど不明である。本研究では、このような神経栄養因子・神経分化因子が、シナプスの発達・成熟にどんな役割を果たしているか明かにする計画である。 本年度においては、海馬神経細胞を長期間に渡って安定的に培養できるシステムを開発すると共に、それを使ってシナプス構造やシナプス構成分子がどのように経時的に発達してゆくか検討した。シナプスの構造的変化は、蛍光色素DiIの染色を用いたコンフォーカル顕微鏡観察と走査型電子顕微鏡観察により行った。その結果、従来小脳シナプスの研究結果とは異なり、ポストシナプス構造は(スパイン)は軸索の接触に誘導されるのではなく、あらかじめ無数の髭状の突起がデンドライトより伸びていて、それが軸索をつかまえると説明したほうがより現象に合うことが判明した。その接触後、まずAMPA型グルタミン酸受容体(GluR1)がスパインに凝集し始め、次にカルモジュリン依存性キナーゼがそこに発現するという経緯が観察された。この結果は海馬シナプスが、ポストシナプス構造>プレシナプス>ポストシナプス(受容体>酵素)という順序で発達する可能性を示唆した。
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