光刺激による幼若ラット視覚野の回路発達に関する遺伝子群の検索
Project/Area Number |
07279238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50264875)
刀祢 重信 東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学部門, 主任研究員 (70211399)
河合 良訓 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80211861)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | amblyopia / 視覚遮断 / 視覚野 / 発達 / ラット / c-fos |
Research Abstract |
生後発達の一時期(critical period)に、片方の眼への視覚入力を遮断してやると、成熟後の大脳皮質視覚野においてocular dominance columnの形成が障害され、amblyopiaが生じることはよく知られている。このとき、視覚遮断のされ方の違いや程度によってその後の回復の仕方が異なり、動物実験においても、例えば暗所飼育(dark rearing:DR)や両眼瞼縫合(binocular suture:BS)などによってその予後が異なることが示されている。すなわち、BSの方がDRよりamblyopiaの予後が悪いというのが、一般的な見解であるが、そのメカニズムは不明である。今回我々は、Sprague-Dawley系ラットを用いて、生後14日目の開眼直後の幼若ラットと生後7〜8週の成熟ラット(体重200g)にそれぞれ一週間の暗所飼育(DR群)と両眼瞼縫合(BS群)を行った後、一時間の光(視覚刺激)暴露に対する視覚野でのc-fos発現について検討した。コントロール群(normal rearing:NR)は、12時間毎の明暗条件(8:00〜20:00)で飼育し、8日目の9:00に灌流固定した。幼若および成熟ラットともコントロール(NR)群では、点灯後一時間の大脳皮質視覚野においてc-fos発現はほとんど認められなかった。成熟ラットでは、DR群・BS群とも一時間の光(視覚刺激)暴露により、大脳皮質視覚野II-IV層とVI層に著明なFos陽性細胞の発現が見られ、NR群とは明らかに差が見られた。また、BS群とDR群の間にも差が見られた。一方、幼若ラットにおいては、DR群(PDR)では成熟ラットの場合と同様の著明なc-fos発現が見られたが、BS群(PBS)ではその発現は有意に低下しており、NR群(PNR)との差はほとんど認められなかった。 今回の我々のラットを用いた実験の結果では、正常飼育(NR)では、幼若ラット・成熟ラットとも視覚刺激による視覚野でのc-fos発現は起こらないこと、一週間のDR後の視覚刺激に対しては、幼若ラット・成熟ラットとも視覚野で著明なc-fos発現が見られること、一週間のBS後の視覚刺激に対するc-fos発現はDR群に比べると抑制されており、その抑制はcritical periodにある幼若ラットにおいてより強いこと、などが明らかになった。Criticalperiodにおいては、視覚を伴わない微弱な光刺激が視覚野のニューロンの遺伝子レベルでの反応性に影響を与え、それがその後の視覚野の回路形成・発達に何らかの影響を与えているものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)