Project/Area Number |
07283216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 正久 広島大学, 理学部・附属両生類研究施設, 教授 (40130025)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 両生類 / 遺伝子 / 性腺 |
Research Abstract |
本研究は、両生類の性腺分化に係る遺伝子を人為的に発現させ、それらの遺伝子を解析することによって哺乳類をふくめた脊椎動物の性腺分化のしくみを明らかにすることを目的としている。研究材料のツチガエルはテストステロンによって雌から雄に性が転換することから、当初、ステロイドホルモンの合成及び代謝酵素が性腺分化に関与していると考え、3β-ヒドロキシデヒドロゲナーゼ及び5α-レダクターゼの遺伝子の単離を試みた。二つの酵素のcDNA(ヒト、ラット、ニジマス等)をプロープとして、スクリーニングを行ったところ、いくつかの陽性クローンを得たので、塩基配列を決定し、ホモロジー検索を行ったが、目的とする遺伝子ではなかった。 以前、我々は、小胞体Ca^<2+>結合蛋白、カルレキィキュリン(CLT)が精子形成に重要な役割を果たしている可能性を示した[Exp.Cell Res.205(1993)101].そこで、この蛋白が両生類の性腺分化に重要な働きをしているのではないかと考え、その役割を明らかにするため、まず、CLTcDNAクローンを得て塩基配列を決定した。同時に、CLTと類似アミノ酸配列をもつ小胞体Ca^<2+>結合蛋白、カルネクシン(CLX)cDNAクローンの塩基配列も決定した。CLXcDNAの塩基配列の決定は哺乳類以外の動物では、我々の報告が最初である。カエルの組織において、CLXとCLT遺伝子は、その発現に著しい違いがあり、前者が成体の肝臓だけ発現するのに対し、後者は全ての組織で発現する。しかし、時期と量が著しく異なる。未分化性腺において、CLT遺伝子は発生の初期から発現するが、量的には少ない。ところが、変態後の卵巣はCLT遺伝子を異常と思われるほど強く発現する。これとは逆に、同期の精巣におけるCLT遺伝子の発現は弱い。テストステロンを投与した場合、未分化性腺では、CLT遺伝子の発現が著しく抑制される。CLX遺伝子は性腺ではほとんど発現しないので、テストステロンの影響はない。CLT蛋白をカエルの肝臓から精製し、マウスに免疫して抗体を作成した後、カエルの性腺(特に卵巣)で免疫染色を行ったところ、卵細胞の成長にともない多量のCLT蛋白が出現し、特異的な分布パターンを示した。以上の結果からCLT蛋白が両生類(カエル)の性腺分化のみならず卵形成においても重要な役割を果していると思われた。
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