Research Abstract |
高温超伝導体が発見されて以来,精力的な研究の結果,その超伝導機構もかなり明らかにされてきた。この理論的進展と相まって,超伝導体そのものの成長法,種類などについても多くの改良,発見が続いた。現在,これらの基礎の上に立って,各種の電子デバイスが開発されようとしている。代表的なものはサンドイッチ構造を有するジョセフソン素子であるが,現在の技術をもってしてもこの実現は困難な状態にある。一方で平面的な構成を有する粒界型ジョセフソン素子においては,かなりの程度成功を収めてはいるものの,以然として,その特性制御は十分とはいえない。これらの原因は粒界・界面の特性の把握とその物性の制御法が確立していないためである。本研究は人為的に作成した粒界の特性について,その基礎的理解を図ることを目的とした。あらかじめ作成した粒界(基板の前処理により)に,低温においてキャリアをトラップさせ,その後昇温することによって,熱刺激電流を観測した。この電流を解析することにより,粒界に存在する局在準位の深さや,密度を推定することができた。
|