多発性骨髄腫細胞におけるIL-6シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
07457590
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉崎 和幸 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (90144485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 憲弘 大阪大学, 医学部, 助手 (80273663)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / インターリウキン6 / シグナル伝達機構 / 増殖分化 / シグナル伝達分子 / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫の患者の骨髄あるいは髄外に増殖した形質細胞腫より骨髄腫細胞を分離し、in vitroでIL-6依存性増殖及び抗IL-6レセプター抗体による増殖抑制効果を、^3H-TdR uptake並びにDNA cell cycle analysisにて解析した。IL-6依存性の増殖は検体の約40%に認められ、抗IL-6レセプター抗体はその増殖を抑制した。これらの新鮮な骨髄腫細胞をIL-6トランスジェニックSCIDマウスに移植したところ、形質細胞腫の腫瘤形成が16例中1例で認められ、抗IL-6レセプター抗体はin vivoにおいても腫瘤形成を阻害した。一方、腫瘤は形成しなかったが、他の症例においてもマウスへの移植後マウス血清中のMタンパクは経時的に上昇し約2ヶ月後にマウス脾臓において骨髄腫細胞の存在が蛍光抗体法にて確認された。また、抗IL-6抗体の投与によりMタンパク血症も腫瘍細胞の生着も抑制された。次に前述のIL-6トランスジェニックSCIDマウスに形成された形質細胞腫より1×10^9個の腫瘍細胞を分離し、約1時間の前培養の後、5μg/mlのIL-6にて37℃で5分間刺激した。RIPAバッファーにて細胞溶解後、抗JAK-1抗体、抗JAK-2抗体、抗Tyk2抗体、抗gp130抗体にて免疫沈降を行ない、4〜20%の密度勾配電気泳動にて展開し、抗リン酸化チロシン抗体にてリン酸化の有無を検討した。その結果、JAK-1はIL-6刺激によりごくわずかのチロシンリン酸化を受けたにすぎなかったが、JAK-2はIL-6刺激による明らかなリン酸化が生じた。しかし、Tyk2に関してはIL-6刺激前よりチロシンリン酸化がされており、刺激の前後で明らかな差は認められなかった。同じパターンのチロシンリン酸化はヒト骨髄腫細胞株であるU266でも認められた。以上のことから、IL-6による骨髄腫細胞の増殖刺激に際し、少なくともJAK-2のリン酸化が生じる。Tyk-2は常にリン酸化された状態であり、形質細胞の腫瘤化に関与している可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)