Budget Amount *help |
¥14,300,000 (Direct Cost: ¥14,300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥12,000,000 (Direct Cost: ¥12,000,000)
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Research Abstract |
平成9年度においては,化学修飾探針による相互作用力の直接測定が行える方法論の提案を目的とした研究を行った. まず,化学修飾探針による配位結合に基づく化学種の認識を目的として,水溶液中のイオンと自己集合単分子膜(SAMs)表面の官能基との相互作用に由来する力の測定を行った.すなわち,末端に遷移金属と強い配位結合を形成するmethylsulfanyl基を持つシラン化合物に基づくSAMsを修飾したAFM探針と基板との吸着力を,水溶液中のAg^+の濃度を変化させながら測定した.その結果,吸着力は,5mM付近のAg^+濃度までは増加するが,さらにAg^+濃度を増加させると減少した.この結果は,methylsulfanyl基を末端に持つSAMs修飾Si基板表面の接触角がAg^+濃度の増加に伴い減少するという結果(官能基がAg^+と結合し電荷を持つことに起因していると考えられる)とは全く反応していない.このような吸着力の増加は,一つの銀イオンに対して基板・探針双方の官能基が挟み込むように配位する相互作用力が働くことに由来すると考えられる.すなわち以上の結果は,化学修飾探針を用いることで,配位結合の力を直接測定できることを示している. また,H^+と水素結合を形成するamino基,2-imidazolin-1-yl基を末端に持つシラン化合物に基づくSAMsについても,水溶液中のH^+濃度を変化させて同様の吸着力・接触角測定を行った.その結果,H^+濃度の増加に伴う,官能基のプロトン化による接触角の減少が観測され,それに対応して電荷の反発によると考えられる吸着力の減少が観測された.さらに,両者の官能基のpK_aの違いに応じて,吸着力および接触角の減少が観測されるH^+濃度の違いがあることが分かった.この結果は,化学修飾探針を用いた吸着力測定が,単分子膜表面の表面pK_aの測定に適用できることを示している.
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