Research Abstract |
本研究は普及している安定化ジルコニア固体電解質より少し低い,中温度で使用できるセンサーを開発することを目的とし,起電力測定を主体にした実験的検討を行い,次のような知見を得た. 1.螢石ベースの固体電解質センサー:市販品の螢石単結晶を加工してるつぼを作製し,亜鉛めっき浴中のアルミニウム検出用センサーの参照極として,Zn,ZnF_2,Bi,BiF_3が450℃附近の温度まで使用できる.アルミニウムの粉末にAlF_3を混合した固体参照極を用い,電解質の肉厚を薄くすると,350℃程度まで安定な起電力が得られることが分かった.螢石の粉末にAlF_3を混合,焼結して一体化する作製法は圧粉性が悪く,また焼結性改良の結合剤の検討,熱処理方法など追加検討が必要である.一部液体を残す参照極としての(Al-Sn)+AiF_3は良好な特性を示すが,電池の差動安定性の面で上記固体参照極のほうが優れている. 2.LaF_3+SrF_2ベースの固体電解質:現在市販品はなく,粉末法により作製した.電気伝導度はSrF_2およびLa_2O_3を5モル%程度添加すると大きな値になる.単純化のため酸化物を添加しないで5モルのSrF_3を添加した試料を温度,雰囲気を変えてペレットを作製した.アルゴン雰囲気下,1100℃,10時間で緻密な電解質ができた.これを用いてZn,ZnF_2;Bi,BiF_2;Ga,GaF_2;In,InF_3のフッ素ポテンシャルを測定したが,350〜600℃で熱力学データの計算値の75〜90%の値しか得られなかった.但しセルの起電力の安定性は良好であった.酸素ポテンシャルの測定も同様の金属とその酸化物を共存させて測定し,計算値の70%の値が得られた.初期の目的を満たす電解質の開発のためには焼成度の良いほど高い起電力が得られることから,焼結体ではなく,単結晶化することが必要であるとの結論を得た.白金と試料電解質は反応しないので,単結晶化の可能性は大きい.
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