Research Abstract |
抗原分子のT細胞エピトープ同定はワクチンの開発や自己免疫疾患の病因解明に避けて通れない重要な課題である.T細胞エピトープ同定の為に既に2,3の方法が使われているが満足のいくものはない.特に抗原が未知の場合、全く方法が無いのが現状である。我々は最近使われ始めたランダムペプチドファージライブラリーに独創的な改良を加え、ランダムペプチドをMHC分子と共にファージ表面に発現させ,T細胞レセプターとの結合するランダムペプチドを直接スクリーニングすることでこれを克服することを計画した。MHCクラスII分子を一本鎖蛋白としてファージ上に発現させるために、先ずMHC分子と同じスーパーイムノグロブリンファミリーである抗体で試験的に実験を行い、抗体の可変領域であるVH鎖とVL鎖の遺伝子をPCR法にて増幅した後、リンカー(DDAKK)^4をコードする遺伝子(作成法は報告済み)を挟んで一本鎖にして、ファージのマイナ-コートプロテインをコードする遺伝子に連結した。そして、抗体活性があることを確認した(Mol. Biol. Reports, in press)。これをMHCクラスII分子に応用し、α鎖及びβ鎖の細胞外ドメインの遺伝子をPCR法にて増幅した後、同じリンカー(DDAKK)^4をコードする遺伝子を挟んで一本鎖にして、ファージのマイナ-コートプロテインをコードする遺伝子に連結した。本来の立体構造を持っているかどうかは現在抗クラスII抗体等を用い確認中である。一方、12アミノ酸からなるランダムな配列のペプチドをコードするDNAはすでに作成しており、組換えMHCクラスII分子が作成され次第スクリーニングを行うことができる。
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