Project/Area Number |
07610209
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
舟橋 和夫 京都女子大学, 家政学部, 助教授 (80081173)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 出稼ぎ現象 / ネットワーク / 比較研究 |
Research Abstract |
本研究は日本およびタイにかんする数量的分析と定性的(テキスト)分析からなるが、なかでも研究深化が最も遅れていたタイのネットワーク形成の質的分析を優先させた。そのため、コンピュータを用いた数量データの多変量解析よりも、困難と思われたタイの定性的データの解釈に一応の成果が見られたので、ここではタイの出稼ぎ現象にみるネットワークを中心に報告する。 タイ国東北部に一般的に見られる農民の相互扶助的ネットワークは、普通hit nam kan, kin nam kan(共働・共食の意)という。これは元来親と娘(多くは末娘)世帯の世帯共同を意味する。あるいはライフサイクル上では、娘世帯の独立の援助の意味もある。また、農民間のネットワークの規範(相互扶助)として機能する。 しかし、タイ国の80年代からの急速な経済発展は農村から都市(外国を含む)への出稼ぎという形で一般化した。普通、そのことをpai ha ngan(金儲けに行くの意)という。そのため若者が村に見られなくなった。村に残ったのはじいちゃん・ばあちゃんだけであった。彼らが新たな農業の担い手になった。 夫もしくは若夫婦が出稼ぎに出たため、村には祖父・祖母と娘(妻)や孫の構成が増加した。そのため、村人のネットワークのあり方は、共働・共食関係からlieng luk lan(子と孫の世話をするの意)やlieng lan(孫の世話をするの意)の関係に変化した。また、祖父・祖母と若夫婦の関係(ネットワーク)は金銭的関係へと変質した。他方、都市におけるインフォーマルセクターでの就業・援助にも、彼らの村でのネットワーク、すなわち共働・共食関係が機能している。 なお、日本の定性的分析と、日本とタイの数量的データの多変量解析が現在進行中であることを申し添える
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