「イングランド宗教改革」評価の史的変遷と国民意識の形成
Project/Area Number |
07610392
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
History of Europe and America
|
Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
指 昭博 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90196197)
|
Project Period (FY) |
1995 – 1997
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1997: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1996: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 宗教改革 / イングランド / 国民意識 / メアリ1世 / ウェールズ / イコノクラスム / ジョン・フォックス |
Research Abstract |
本研究の目的は、イングランド宗教改革に対する評価の変遷を、16世紀以降の歴史叙述などの同時代著作に探ることから、近代イングランドにおける「国民意識」の形成に宗教改革が及ぼした影響を分析し、イギリス社会の文化的・精神的な背景としての宗教改革の重要性や意義を、社会史的な視角から考察することにある。 先の2年間の研究では、貴族・ジェントリなどの記念碑墓への攻撃に対する、当時の墓碑擁護論の検討から宗教改革時のイコノクラスムの問題を考察し、当時の宗教改革理念と実際の俗人による改革理念の受容・理解との齟齬を明らかにする一方、こういった教会の変貌に対する聖職者や好古史家の評価を、神学者ジョン・フォックスの著作に対する評価の変遷の上に跡付けていく作業を進め、さらに、ウェールズを例に、宗教改革の進展の背後にあった民族意識の政治的利用についても検討した。 最終年度である本年度は、先行する2年間の研究をより深化させることに努めた。とくに、当時簇生した歴史著作において、宗教改革にともなう国教会の正統性の歴史的根拠を主張する必要から、ブリテン人のトロイア起源説のような中世的な伝説の積極的な受容や国民の歴史的アイデンティティ探求の試みが顕著にみられることに着目し、先のウェールズに続いて、イングランドにおける国民意識の形成過程と宗教改革の関連の一端を明らかにした。一方で、イングランドにおける宗教改革評価の試金石とも言えるメアリ1世時代を再検討し、この治世に関する従来の評価の問題点の指摘から、メアリ治世およびイングランド宗教改革の新たな歴史的位置付けを試みた。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)