Project/Area Number |
07610457
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英米文学
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牛江 一裕 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (10134420)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Keywords | 平行的多重構造 / Raising to Object / 動詞補文 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自然言語における句構造の特性をこれまで見過ごされてきた新しい観点からとらえなおし、統語構造における平行的多重性の存在を実証的に検証し、その文法理論における重要性と可能性を明確化することにあった。特に動詞句の内部において多重性が存在することが多いと考え、動詞補文構造に焦点を絞って統語的多重構造について研究し、理論化を試みた。 そのひとつとしてbelieve型動詞の補分構造分析を行った。生成文法において、いわゆる目的語への繰り上げ(Raising to Object)については、BresnanとPostal等の論争以来大きな問題として残っており、現在に至るまでその決着はついていない、最近の研究においても、Ishihara(1992)などでRaising to Objectの必要性が主張され、Particle Movementに関する議論などその操作の必要性を示す説得的な議論が示されている。しかし、この移動操作はGB理論においては問題のある操作であり、また、Minimalist Programにおいては許されない操作である。ここで、並行的多重構造分析をとれば、Raisingという統語的移動操作を加えることなくその文法的性質を適切な形でとらえることができるということを明らかにした。すなわち、believe型の動詞は、動詞が直後に補文をとる構造と、動詞が名詞句と動詞句をその同位要素としてとる構造の2つを並行的・同時的に持つと考えることにより、これまで議論が分かれていた様々な文法現象を無理なくとらえることができる。Minimalist Programでは統語構造としてbinary branchingの構造のみが仮定されているが、その考え方に大きな疑問を投げかけることになる。 また、知覚動詞の補部・prevent型動詞の補部等についても検討し、広範囲の動詞補文構造において並行的多重構造分析が有効であることを明確にした。
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Report
(1 results)
Research Products
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