国民の安全・健康を保障する社会的規制の必要性と当該規制が規制緩和に及ぼす影響
Project/Area Number |
07620042
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social law
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 加人 愛媛大学, 法文学部, 教授 (70036466)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1995: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 社会的規制 / 規制緩和 / 文化の普及 / 書籍の再販 / 独禁法の適用除外 |
Research Abstract |
本申請に基づく研究は、社会的規制の緩和が遅々として進まない原因を探ること、国民生活上必要のない規制を撤廃して、競争原理のスムースな導入を図る方策を見いだすことを主眼とした。そこで、社会的規制の中で文化の普及という理由から、書籍の再販が独禁法の適用除外になっている問題を取り上げた。その視点は、1.文化を普及するために書籍の再販を存続すべしとする要求が、政・官・業に規制強化の口実を与えていないか、2.社会的規制を緩和する際に、規制緩和が諸団体間の利益調整によって歪められていないか、というところにおいて研究を進めた。 まず、社会的規制に関する事実認識を行うために、1.各種統計資料を使って、書籍業界の実態(流通実態)調査、2.消費者団体・国の機関(公取委、通産省、総務庁、文化庁)からの聞き取り調査及び資料収集、を行った。 これらの資料を精査した結果、独禁法上の書籍の再販適用除外は、小売業者の保護を図ることを目的としたもので、書籍の価格を全国一律にして文化の普及を図るという理由は、後からつけた口実にすぎないことが知見できた。規制緩和が進む中で、独禁法の適用除外制度の縮小・廃止問題で、必ず出てくるのが政・官・業が一体となってこれを阻止しようとする動きである。今回の書籍の再販制度の撤廃問題についても、この三者が文化の普及という理由をつけて現在の制度を維持しようとする姿勢が明確になった。したがって、書籍の再販制度は、独禁法秩序にそぐわない制度であること、書籍業界は、寡占市場構造下におかれた取次業主導の運営が行われていること、から同制度を早急に撤廃すべきことを結論づけた。この研究成果は、『競争法と消費者法の基礎理論-独占禁止法・知的財産権法・消費者保護法-』(嵯峨野書院)で、発表することとした。
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Report
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Research Products
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