プロトングラス転移における非線形誘電率の発散と共鳴トンネル効果
Project/Area Number |
07640442
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三浦 裕一 名古屋大学, 理学部, 助教授 (30175608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 暉 関西学院大学, 理学部, 教授 (00079667)
折原 宏 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30177307)
馬宮 孝好 名古屋大学, 理学部, 教授 (20022600)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 非線型感受率 / グラス相 / 量子二準位系 / 水素結合型誘電体 / 低温誘電率測定 |
Research Abstract |
水素結合型の強誘電体RbH_2PO_4(RDP)と反強誘電体NH_4H_2PO_4(ADP)の混晶は、ADPの濃度をxとして0.22<x<0.80の範囲でどちらの秩序相へも転移できず電気双極子が任意の方向へ凍結した特殊なグラス相(プロトングラス相)に転移する。我々はすでに線形誘電率の測定から低温で量子二準位系に特有な測定周波数に依存した極小値を観測し、水素原子の共鳴トンネル現象が起きていることを報告している。7年度は特に1Kから0.03Kまでの低温で共鳴トンネル現象における非線形効果を測定し、結果の一部をフォノン物理国際会議(1995年7月、札幌)において報告した。 非線形効果の測定方法として高精度のBridge法を開発した。まず位相同期した周波数fと3fを発信させf成分をBridgeに加える。この時、基本波fに含まれる高調波を除くため申請品のFilterをカスケード(48×2 dB/Oct)にして用いた。次に、基本波fに対する試料からの大きな応答を7桁のレシオトランスを用いたBridgeで打ち消し、微小な非線形信号を増幅後、もう1台のFilterにて3f成分を分離した。最後に二相発信器からの参照信号を使用して2台のロックインアンプにて基本波fと3fの信号を位相検波により同時に測定した。fと3fの信号はそれぞれ線形誘電率と非線形誘電率に比例する。この方法により、外部電圧0.1Vのとき1nV(0.01ppm)までの非常に微小な非線形信号を測定することができた。 非線形誘電率は温度の下降につれ増加し、約0.07Kで極大値をとり下降することがわかった。プロトングラス系における量子二準位系のフォノン系に対する緩和時間T_1は温度低下につれて急速に増加するため非線形応答が増加する。即ち緩和時間が低温で増加すると、電磁波を共鳴吸収して励起された準位系がフォノン系へ緩和するのが間に合わなくなり飽和する傾向となる。更に詳細に調べたところ、この非線形応答の温度依存から量子二準位系の間の相互作用を記述する緩和時間T_2の温度依存性を初めて求めることができた。
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Report
(1 results)
Research Products
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