ペロブスカイト型金属ハロゲン化物のフィリング制御と超伝導探索
Project/Area Number |
07640467
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岩佐 義宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (20184864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (90234244)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 混合原子価 / ペロブスカイト / Negative U / 圧力励起相転移 / 金錯体 |
Research Abstract |
本研究では、混合原子価を示すペロブスカイト型金属ハロゲン化物ABX_3(A=K,Rb,Cs;B=Ag,Au;X=Cl,Br,l)を母体として、物質開発を行った。バンドフィリング制御の観点からは、A,Bサイト置換が必要不可欠である。 (1)Aサイト置換、Bサイト置換 アルカリ土類金属のBaを用いて、Aサイト置換を試みた。Bal_2とCsAul_3を用いてブリッジマン電気炉で合成を行った。黒色のサンプルを得たが、非常に不安定な物質で容易にヨウ素を遊離して分解する。今のところ精密な物性測定は成功していない。Bサイト置換については、同じくペロブスカイト構造を有する金属ハロゲン化物が有望である。この観点から、CsHg(5d^<10>)l_3とCsPb(5d^<10>6s^2)l_3に注目した。まずこれらの試料の合成を行い、CsAul_3と混合して電気炉で焼いた。各組成比においてCs(AuPb)l_3系は半導体もしくは絶縁体であった。AuとPbの価電子帯のエネルギー差が大きいためと考えられる。一方Cs(AuHg)l_3系では、電気伝導性の高い試料が得られたが、これも不安定な化合物である。Cs(Au_<0.5>Hg_<0.5>)l_3の電気伝導度を粉末加圧成形試料において測定したところ、250K付近で急激な抵抗の減少が見られた。現在詳細な解析が進行中である。 (2)CsAgCl_3系の合成 Agは4dが価電子帯のためAuよりもオンサイト‐クーロン反発が大きいため、混合原子価による格子歪みが小さいことが期待される。そこでCsAgCl_3の合成を試みた。まず、CslとAgClを電気炉で250℃に加熱してCsAgCl_2を合成した。これをドラフト内で塩素ガスにて酸化しCsAgCl_3を得た。X線粉末構造解析により、CsAuX_3系と同形であることがわかった。現在、本物質の物性測定と、これを母体とした物質開発が進行中である。 (3)今後の課題 六方アンビル型高圧発生装置を用いた高温高圧合成法も試みる予定である。この方法は酸化物高温超伝導体の合成で注目されており、高温高圧下で合成することにより、良質の単結晶を得ることができる。またこれにより、準安定相を常温常圧下で得ることも可能である。また申請者のこれまでの研究によっても明らかなように、金属ハロゲン化物結晶において圧力は極めて強い外部摂動効果として働く。高圧力は、結晶格子定数・エネルギーバンド構造・電子-電子間相互作用・電子-格子相互作用等を連続的に変化させることにより、固体物性を変えることが可能な手法である。上記の物質において高圧下での精度の高い測定を行ない、圧力印加による物性変化について電気的性質を中心に調べる予定である。また圧力効果の検討は、物質設計の指針を得るためにも重要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)