Project/Area Number |
07640506
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 大二郎 東京大学, 教養学部, 教授 (30114713)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | メソスコピック系 / 永久電流 / 量子細線 |
Research Abstract |
本研究の目的は、メソスコピック系で実験的に観測されている大きな永久電流の値と、これまでの理論で予測されている小さな永久電流の値の矛盾を、電子間の相互作用を取り入れることによって、解決しようとするものであった。このための手法としては、既に我々によって開発された自己無矛盾平均場法をできる限り大きな系に適用して、計算機シミュレーションを行い、さらに大きな系である実際のメソスコピック系での振る舞いを推測するという方法を用いた。計算は8×8×20までの大きさのサイトを持つアンダーソン・モデルに電子間のクーロン相互作用をとりいれたものに対して行った。この結果、1.電子のスピンを考慮しないモデルにおいては、小さい系では、電子間相互作用は永久電流を小さくする効果があったのに対し、大きな系では永久電流値を多少増加させる効果があること、2.このことは電子に対する不純物効果が相互作用によって増強されるにもかかわれず起こること、3.電子のスピンを取り入れたモデルにおいては電子間相互作用によって永久電流の増加が見られること、4.ただしこれは不純物効果の遮蔽効果に起因すること、を明らかにすることができた。4.の結果はスピンを取り入れたモデルでは通常の電気伝導度の増大ももたらされてしまい、実験と理論の矛盾の解決にはならないことを示しており、スピンが永久電流の増大に本質的であるという一部の人達による主張が正しくないことを明らかにしたものである。一方、1.,2.の結果は、スピンのないモデルによる永久電流の増大の可能性を明らかにしたものである。現在、結果の詳細についての論文を準備中である。
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