アミノ酸熱重合物が水中で形成する微小熱機関の構造と機能
Project/Area Number |
07640528
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
松野 孝一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10120346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 栄一 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (30134977)
本多 元 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20192742)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | アミノ酸 / アミノ酸熱重合物 / プロリン / アスパラギン酸 / 緩和過程 / 微小熱機関 |
Research Abstract |
アミノ酸熱重合物が長寿命のエネルギー励起レベルを持つことに着目し、それが物質進化を駆動する進化駆動エンジンになり得る可能性を検討した。 アミノ酸熱重合物の水環境下での比熱はその環境の温度変化に対して履歴を示す(Matsuno, 1995 in J. Biol. Phys.)。特にプロリンとアスパラギン酸の熱重合によって得られたアミノ酸熱重合物の場合、20〜80℃の範囲での温度昇降(所要時間、40分)に対して、吸熱量が発熱量より大きくなることを見出した。熱重合分子(分子量約4,000)1ヶ当たり10^<-14>エルグ程度のエネルギーが蓄積された(Matsuno, 1996 in J. Biol. Phys.)。このことは、アミノ酸熱重合物が温度環境の周期的変化を受けてエネルギー励起を受ける際、その励起の緩和時間が温度の変化を規定する特性時間より大きくなることに対応する。アミノ酸熱重合物が十分に長い緩和時間を伴う熱励起を可能とすることは、当初に想定していた微小熱機関の妥当性を肯定する結果である。但し、温度昇降サイクルを繰り返して行くと、1サイクル当り蓄積されるエネルギーは減少して行った。これより、持続する微小熱機関の実現のためには、環境の周期的変化を規定する各種物理パラメータと微小熱機関の動作特性を関連づける必要性が生じて来た。 次に、アミノ酸熱重合物が置かれた水環境下の水素イオン濃度が及ぼす影響を検討した。pHが6〜8の範囲にある時、アミノ酸熱重合物は集積状態から解離状態に移行するが、一度解離した熱重合物が再び集積することを見い出した。集積解離に関して、このアミノ酸熱重合物はpHに大きく依存した緩和過程を実現する。pH6〜8の範囲でpHが僅か変わることによって、集積解離に関する緩和時間が数分から数時間にわたって変化することを確認した。 プロリンとアスパラギン酸とから成るアミノ酸熱重合物の場合、温度環境、pH環境が周期的に僅か変動するだけで、長寿命励起が実現する。これは、我々の意図していた進化駆動エンジンの可能性を更に押し進める結果となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)