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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
中部九州の耶馬渓火砕流堆積物と今市火砕流堆積物,大阪層群のピンク火山灰とアズキ火山灰,および上総層群のO7火山灰とKu6C火山灰から定方位試料を採取し,古地磁気・岩石磁気学的研究を行なった。特に,溶結凝灰岩とプリニアン降下軽石層との磁気的性質を考察するため,各テフラの基底部では詳細な試料採取を行なった。まず,これらの試料の残留磁化をスピナ-磁力計によって測定し,交流消磁と熱消磁の実験によって磁化の安定性を検討した。その結果,(1)今市火砕流とアズキ,Ku6C火山灰の磁化はすべて逆極性であり,やや東へ偏った方位に集中すること,(2)耶馬渓火砕流とピンク,O7火山灰はすべて正帯磁しており,約30°の浅い伏角で特徴づけられることが示された。火砕流の持つ熱残留磁化と遠方テフラの堆積残留磁化とがよく一致した方位にあることはそれらが地磁気経年変化を考慮した上でも同時期に獲得されたことを示唆し,古地磁気学の手法がテフラの対比に有効であることを意味する。初期帯磁率とその周波数依存性の測定,非履歴残留磁化(ARM)の付加と交流消磁,等温残留磁化(IRM)の付加実験では,アズキとKu6C基底部の白色細粒部,および今市火砕流直前のプリニアン降下軽石は,それぞれの上部層と異なる分布の保磁力を持つことが確かめられた。アズキとKu6Cの主部は今市火砕流の噴煙柱に由来するco-ignimbrite ashであり,その磁性鉱物はガラス中で成長した単磁区サイズのマグネタイトであって,非常に安定な磁化を保持している。プリニアン降下軽石とその遠方堆積相の磁性鉱物は,より粗粒の磁性鉱物が含まれる。これらの結果は,磁性鉱物の性質も噴出源と遠方のテフラでよく対比されることを示す。
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