二枚貝マルスダレガイ科のアイソザイム分析に基づく穀体構造の分化過程
Project/Area Number |
07640616
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Stratigraphy/Paleontology
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島本 昌憲 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30211965)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 二枚貝 / アイソザイム / 穀体構造 / 系統分類 / 遺伝距離 |
Research Abstract |
これまでの研究で明らかになっていたマルスダレガイ科の現生種に見られる3つのタイプの穀体構造が、化石種においてどのように変異するかを検討するため、タチカラウシナイ層・志美宇丹層(北海道)、白鳥川層群・三戸層群(青森・岩手県)、仙台層群(宮城県)久保田層・九面層(福島県)、黒瀬谷層・大桑層(北陸)、布志名層(山陰)などの中新統〜鮮新統の化石標本を採集し、穀体構造の観察を行った。その結果、現在まで生存する種の化石標本では現生標本と同一の穀体構造であることが確かめられた。一方、絶滅種については、多くの種では同属の現生種と同一の穀体構造であるが、ユウカゲハマグリ亜科、マツヤマワスレガイ亜科、リュウキュウアサリ亜科、カガミガイ亜科などの一部の種において現生種では見られない穀体構造が認められた。これらの種は、マルスダレガイ科の中でも年代的に古い地層からの産出が知られている種であり、より原始的な構造と考えられる穀体構造が観察された。このような絶滅種から現生種への穀体構造の変化の中で重要な変化は絶滅種のみに観察される穀体構造では穀層の分化が不完全なものが多く、同一穀層に複数の構築構造が共存したり、明瞭な穀層が識別されない点である。現生種についてのアイソザイム分析の結果、遺伝子座数の変化に着目するとタイプIIIからタイプI、タイプIIの穀体構造をもつ種へ遺伝子座数の減少が見られ、穀体構造の分化がタイプIIIからタイプIIへ進行したと推定される。また、種間の遺伝的分化の程度は魚類等の他の海産生物に比べて大きく、より正確な遺伝距離の定量化のためにはより多くの遺伝子座についての情報が必要であることが判明した。 これらの事より、穀体構造は種の系統的類縁関係を強く反映した形質であることが明らかになり、今後より詳細な系統関係を推定するために多くの種群についてのデータを蓄積する必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
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