Project/Area Number |
07640852
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物生理
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江刺 洋司 東北大学, 理学部, 教授 (40006002)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 植物組織 / 老化 / カルボニル化合物 / 蛋白質修飾 |
Research Abstract |
本研究荷際してはその目的に相応しいものとしてリンゴ果実を材料として用いた。従来、植物細胞の老化の誘因にはエチレンの関与が想定されてきたが、もしエチレンが最も基本的な老化誘導因子であるとすれば、その生成過程は酸化反応で分子状酸素が介在することになることから、果肉細胞の老化は果実表層からだけ進行することになる。しかし実際には、果実の蜜の存在で知られるようにその成熟は寧ろ内部からも進行し、組織の軟化は一斉に起こる。エチレンが介在するとすれば、酸素と接触する果肉外層から老化が始まることになり、実際の老化現象と矛盾する。そこで種子の老化機構に介在することが判明しているacetaldehyde(Ald)は酸素欠乏の果肉内層で多量に生成されると想定されることから、Aldの関与を推定し、エチレンの生成と共に、果実表層から3区分に分けてそれらの細胞内含有量を比較した。興味あることにエチレンだけでなくAldも表層組織中に大量に含まれ、前者はは内部に行くに連れてその含量は減少するのに対して、Aldは中間部で低下するものの、内部の芯近傍の組織において再び高い含量を示した。この傾向は、貯蔵時間と共に更に顕著となった。この含量に対応する、各果肉組織内のAld-蛋白質結合体の含有量を調べたところ、内部組織においてAldによる蛋白質の変成が進行していること、Ald処理によって老化を促した場合にはその変成の程度は一層進行することが明らかになった。以上の事柄から、Aldに代表されるカルボニル化合物による蛋白質の修飾・変成が植物組織細胞の老化に普遍的に関与する可能性が示された。尚、エチレン処理は、果肉の各部においてAld含有量を高め、結果として蛋白質の修飾率も高めた。この事は、エチレンによる植物組織の老化にもAld生成促進を介しての蛋白質修飾も関わる可能性を示唆するものである。
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