根の重力屈性の情報伝達系におけるアポプラストの役割
Project/Area Number |
07640853
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物生理
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 隆 山形大学, 教育学部, 助教授 (70134145)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 重力屈性 / 信号伝達 / アポプラスト / カルシウムイオン / プロトンポンプ / 根 |
Research Abstract |
根の重力屈性は、植物が生存する上で最も重要な環境に対する応答である。そのため多くの研究者によって解析され、種々の仮説が提案されてきた。最近では、根冠アポプラストにおける遊離Ca^<2+>の動向が注目を浴びている。我々は、重力刺激によりアポプラストの遊離Ca^<2+>量が上昇すること、さらに、遊離Ca^<2+>量の上昇は細胞壁中の結合型Ca^<2+>の解離が原因である可能性を報告した。本研究は、根冠の遊離Ca^<2+>の動向に及ぼすプロトンの影響、さらに遊離Ca^<2+>の役割を解析し、情報伝達系における根冠アポプスストの役割を明らかにすることを目的とした。 暗下生育のトウモロコシ(Zea mays L.,cv.Golden Bantam70)の一次根(1.5cm)を材料とした。Ca^<2+>の測定はQuin-2を輸送液とした蛍光検出フローインジェクション分析法で行った。根冠を含む1-mm切片を種々のpHの緩衝溶液中に浸し、これらの溶液中に含まれるCa^<2+>量を調べたところ、Ca^<2+>量はpHに依存し、pHが低くなるにつれて増加した。また、根冠をプロトンポンプの阻害財であるDCCDはNa_3V0_4で処理した根は、重力刺激を与えても根冠で遊離Ca^<2+>量の上昇は見られなかった。これらの結果は、重力刺激の細胞内情報伝達によりプロトンポンプが活性化し、プロトンが細胞外へ排出される、プロトンは細胞壁を構成するペクチンのガラクツロン酸のカルボキシル基を結合するため、カルボキシル基とキレート結合していたCa^<2+>が解離し、根冠アポプラストの遊離Ca^<2+>量が上昇するという反応鎖が、重力刺激の情報伝達系に関わっていることを示唆する。さらに、根冠→伸長域への信号伝達物質の候補としてIAAに焦点化し、拡散性IAAの動向を調べたところ、拡散性IAAの求基的移動が根冠における遊離Ca^<2+>量に依存していることが分かった。このように、根冠アポプラストは重力刺激情報伝達系の鍵部位であることが明らかになった。現在、拡散性IAAの求基的移動におけるCa^<2+>の役割を調べている。
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Report
(1 results)
Research Products
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