ハネモ属の同所的個体群に於ける生殖的隔離機構の実体
Project/Area Number |
07640918
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
系統・分類
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市村 輝宜 北海道大学, 理学部, 助教授 (00090481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 泰三 北海道大学, 理学部, 助手 (30183974)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | ハネモ / 走化性 / 生殖的隔離 / 雌雄異体 / 雌雄同体 |
Research Abstract |
1)1995年8月21日と22日の両日シュノ-ケリングにより北海道忍路湾内の数カ所に分布するハネモ群落の調査を実施した。波浪などによる配偶子や遊走子の分散ならびに移動の可能範囲などを考察することを目的として、2箇所で1平方メートルのコドラート内の全ての群落から少なくとも1個体を採取し、その水深と位置を記録した。個々の個体を実験室で培養し、成熟させて雌雄を決定した。雌雄の個体は比較的離れて散在し、ほぼ1対1の割合であった。同年11月4日と5日の両日を同様の調査を行ったが、水温の低下のためかハネモ群落の数が少なく期待した成果は得られなかった。2)従来忍路湾には雌雄異体のハネモ(B.plumosa)と雌雄同体のオバナハネモ(B.hypnoides)が生息するとされていた。しかし後者は、実は雌雄異体であり、最近新種として公表された沖縄と奄美諸島産のナンカイハネモ(B.triploramosa)に酷似していることが本調査で初めて明らかになった。このため1996年1月沖縄県石垣島に赴きナンカイハネモを採取し、培養を継続し問題の忍路産の株との交雑実験を現在実施中である。3)室蘭チヤラツナイ浜のハネモについては、毎月少なくとも2度は調査を行い6月半ばから12月半ばまで配偶体に確認している。1995年8月29日には忍路湾と同様な調査を行い、雌雄個体の分散度合いて性比について同様な結果を得た。4)走化性の実験は、成熟誘導が比較的容易なハネモについて行った。成熟した雌及び雄の配偶子嚢を切り離し、光照射の刺激により放出させた雄配偶子が雌配偶子、雌配偶子嚢及びこれらの抽出物に誘因されることを確認した。本研究において、雌配偶子と接合子は各々正と負の走光性があるのに対して、雄配偶子には全く走光性がないことを確認した。また、忍路産と室蘭産間で雄配偶子および雌配偶子の大きさと鞭毛の長について統計的に有意な変異が確認され、ハネモ属内における異形配偶の進化生態学的考察の重要な根拠を与えた。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)