Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
本研究の主たる目的は,引っ張り歪の導入によって半導体量子細線構造における発光の偏光特性の制御が可能であることを実証することにある。そこでまず最初にGaAsP/AlGaAs量子井戸を作製し,引っ張り歪を導入して発光の偏光特性を制御できることを実験的に検証した。 本研究では,フォトリソグラフィー技術で基板にV溝状の加工を施した後,有機金属気相エピタキシ-法によって量子細線構造を作製するという方法をとっている。この場合,AlGaAs障壁層を成長する際にはV溝の形状を鋭く保ち,一方,GaAsPからなる細線層を成長する際にはV溝の底部に厚く成長することが要求される。そこで良好な形状を有する細線構造を作製する成長条件を決定することが重要な位置を占める。その過程においてV溝底部にGa組成の大きいAlGaAs混晶が局所的に成長することがわかった。また,その部分の寸法が成長温度・Al供給量等の成長条件に依存することが明らかになり,これに基づく新しい量子細構造作製の提案を行った。さらに最適な成長条件に基づいてGaAsP/AlGaAs引っ張り歪量子細線構造を作製した。フォトルミネッセンスによって発光の偏光特性を検討した結果,細線の寸法を小さくするにしたがって,基板に平行な偏光から基板に垂直な偏光へと変化していくことが明らかになり,歪導入によって偏光の制御が可能であることが実証された。 以上の実験結果に基づいて細線の寸法を決定し,量子細線方向と垂直な方向に対して偏光の異方性が解消された量子細線構造レーザを試作した。電流注入量が発振しきい値下では偏光の異方性のほとんどない発光が確認された。レーザ特性としてはしきい値電流が高いなどの問題があり,さらに今後の検討を要する。
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