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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1.分岐現象の多くは系の対称性に由来するので,群対称性をもつ方程式系の数値計算に関して,構造工学や制御工学における現状を調査,整理した.偏微分方程式の対称性を保持しながら離散化を行うことの重要性は,理論的・概念的レベルでは十分認識されているものの,具体的な計算技法としては確立されてはいない.ブロック対角化に基づく効率化の手法については,群論としての数学的な原理の部分は,多くの文献に明確に記述されているが,それを実際に適用した例は少ない.とくに,変換行列の生成や,行列の疎性との関わりについては,まだまだ,研究が少ない.後者に関して,疎行列手法の多くと群対称性に基づく分割手法は基本的に両立しうるとの結論を得た. 2.2次元流体の渦層の形成に関する数値計算を通じて,数値計算誤差が分岐解に与える影響の大きさを観察した.誤差の影響は大きく,これをうまくコントロールするような算法を用いることではじめて意味のある現象が再現される.現状では,算法の誤差を定性的に見積る段階に留まっており,精度保証の段階には至っていない. 3.材料の強度変動の仕組みを初期不整を伴う定常分岐によって説明しようとする研究(研究発表の項の池田らとの共著論文)の成果を逆手にとって数値計算に利用するという着想に至った.すなわち,数値計算上の丸め誤差を「初期不整」に,分岐の数値計算結果を「材料の強度」に対応させることにより,真の分岐解のより高精度の推定値が得られると期待される.この方法を発展させて精度保証法が構成できるかどうかは,今後の課題として残された.
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