Research Abstract |
磁束ポンプは超伝導現象を利用した大電流発生源であり,出力電圧は微少ながら,超伝導マグネットと常時超伝導閉ループを形成でき,永久電流モードへの切り替えスイッチを不要とした超伝導マグネットのエネルギー貯蔵回路を構成する。 今回,磁束ポンプを複数直列接続できるWipf型で出力を高め,エネルギー貯蔵の速応性を図れる装置を製作し,特性試験を行った。また,理論的考察も加え,実験結果との比較検討を行った。 製作した磁束ポンプは,0.7mm厚ガラエポ製ディスク上に8分割したNb箔(20μm厚)を配置し,夫々をNbTi箔で直列接続したもので,更にこのディスクを4枚重ね置きして,全てをNbTi線で直列接続(8S×4S)したものや,ディスク1枚(8S),またディスク2枚分を並列接続(8S×2S×2P)したものなど,3つの接続法が採用できるようにし,これを超伝導発電機の85mHの界磁巻線に直結した。磁束ポンプの印加磁束用マグネットは8極で,2つの超伝導ソレノイドコイルで励磁し,その励磁電流が10Aのとき,Nb箔には0.2Tの印加磁界を発生できた。 磁束ポンプの発生電圧は予想通りの順序で,8S×4Sの場合が200mV,8S×2S×2Pで100mV,8Sで50mVとなり,またこの順序でエネルギー貯蔵速度は高いことが分った。また,最大貯蔵電流は,夫々の場合,12A,45A,26Aであって,磁束ポンプを並列にした方が,貯蔵速度は遅いが,大きい貯蔵エネルギーが得られることが分った。 なお,理論的考察式は,実験結果を良く示すことも明らかにできた。
|