下水処理水の受容水域における指標微生物の挙動と生態系への影響評価
Project/Area Number |
07650634
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil and environmental engineering
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大村 達夫 岩手大学, 工学部, 教授 (30111248)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Keywords | 下水処理水 / 受容水域 / 指標微生物 / 大腸菌群 / 腸球菌群 / 底生動物 / 残留塩素 |
Research Abstract |
近年、下水処理手法については、多くの新しい手法が開発されてきており、下水処理において、定められた排水基準を満足させるような下水処理法を選択することは比較的容易になってきている。しかしながら、その選択には、下水処理放流水がその受容水域の水質や生態系にどのような影響を及ぼすかという観点が考慮されていない。下水処理水が将来の有力な水資源となる可能性を有することを考えると、下水処理放流水の排出基準の設定には下水処理水がその受容水域の水質や生態系にどのような影響を及ぼすかという点も考慮されるべきである。そこで、本研究では下水処理水がその受容河川の水質や生態系にどのような影響を及ぼすかを指標微生物を用いて検討を行った。 下水処理放流水中に含まれる残留塩素は受容河川水中の大腸菌群数および腸球菌群数に影響を与え、放流口直後においては両細菌群数は著しく減少した。その後、流下するにつれて腸球菌群数は継続的に減少したが、大腸菌群数はほとんど減少せず抵抗性を示した。また、両細菌群数の統計的分布特性も大きな影響を受け、分布が正規分布を示さずに他の頻度分布特性へ変化することが明らかになった。 底生動物の調査結果より、下水処理水の影響を受けていない状態に対し、下水処理水の影響を受けている地点では種数の明らかな減少が認められ、一方、現存量においては大量に出現したChironomidae(R-type)の影響で大きな値となった。 底生動物の群集構造を検討するためのDI(N)とDI(W)の値は、群集構造の多様性、複雑性が増すほど高い値を示すが、下水処理水の影響を受ける地点においては小さな値となり多様度は小さくなった。底生動物相の類似性を調べるための共通種による類似度指数であるSimpson指数、正宗相関率およびJaccard指数の値から、下水処理水の影響を受けていない状態の地点間、下水処理水の影響を受けている地点間ではそれぞれ類似性が高くなり、逆に下水処理水の影響を受けていない状態の地点と下水処理水の影響を受けている地点とでは類似性が低くなった。これらの底生動物相に関する結果から、下水処理水の受容河川では、底生動物の群集構造が自然状態の河川より単純になり種数も減少する。しかし、その環境に適応できる種(Chironomidae(R-type))が大量に出現し、現存量がかなり増加することが明らかになった。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)