チタン酸バリウム単一粒界の正の抵抗温度係数効果とドメイン構造形態の関係の解明
Project/Area Number |
07650789
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑原 誠 九州工業大学, 工学部, 教授 (40039136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下岡 弘和 九州工業大学, 工学部, 助手 (50253555)
高橋 誠治 九州工業大学, 工学部, 講師 (90236290)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | チタン酸バリウム / PTCR効果 / 単一粒界 / 自発分極 / 誘電特性 / ドクターブレ-ド |
Research Abstract |
チタン酸バリウム半導体セラミックスはその強誘電性に基づく、特異な粒界電子物性である顕著な正の抵抗温度係数(PTCR)特性をキュリー点以上で示すことが良く知られており、このPTCR特性を応用した様々な電子デバイスが既に広く用いられるているが、さらに新規なPTCRデバイスの開発にはこの効果の発現機構についての完全な理解が不可欠である.機構については、これまでHeywangにより提出されたキュリー点以上での誘電率の温度依存性に基づく粒界障壁層モデルで説明されるとされてきたが、不十分な点も多くPTCR効果の完全な理解には至っていなかった.研究代表者らは本研究課題において、チタン酸バリウム半導体単一粒界の形成とそのPTCR特性の解析によりPTCR効果の発現機構を解明するための実験を行い、所期の成果を得たのでその概要を記す. 1.半導体化元素(La)を添加したチタン酸バリウム粉体を用い、ドクターブレ-ド法により厚さ20〜50μmのセラミックシートを作製し、それを20〜50μm幅の細線状に切断後、焼成することにより、20〜50μmの半導体単一粒子が直列に結合したチタン酸バリウム半導体試料を得た. 2.上記細線状チタン酸バリウム半導体試料における単一粒界の抵抗率-温度及び誘電率-温度特性を測定し、チタン酸バリウム半導体セラミック中の粒界は基本的に典型的に3つの型(通常、鋸歯状及び平坦型)のPTCR特性を示すことが明確に示された.また、誘電率測定からいずれの型のPTCR特性を示す粒界も基本的に同じ誘電率-温度特性を示すことを見いだし、PTCR機構に対するHeywangモデルには修正が必要であることを初めて実験的に明らかにした. 3.偏光顕微鏡下でクロスニコルを用いたドメイン観察とPTCR特性の同時測定により、上記3つの型のPTCR特性を与える粒界において隣接2粒子の粒界部でのドメイン形態に一定の規則性があることを見いだした.即ち、平坦型(PTCR特性を示さない)では隣接2粒子の粒界部での自発分極軸の方向は同じであり、鋸歯状型のPTCR特性を与える粒界の隣接2粒子の分極軸は互いに90°の関係にある可能性が極めて高く、さらに通常の型のPTCR特性を与える粒界の分極軸の方向はこれらの中間の状態のあると結論された.これよりPTCR効果の発現機構として、誘電率というより自発分極の温度依存性が直接関与している可能性を明確にすることができた.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)