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¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
環境に存在する水分の分解により生じた水素に起因する金属間化合物の環境脆化を、材料表面での水素の分解、浸透、移動、凝集に関する各プロセスさらには破壊機構に関して検討を行った。その結果,金属間化合物の低温域で顕在化している環境脆化は,他の汎用従来金属材料とは異なり、比較的温和な環境条件下でかつ激烈に生じていることが明かにされた。さらに、従来intrinsicなものとされてきた金属間化合物の脆性の多くは環境脆化というextrinsicな脆性要因によることを明かにした。特に、合金化による金属間化合物の延性化の多くの例は,環境脆化の抑止により発現していることを明かにしたことが強調される。また一方では、本現象と微視機構の理解を通じて、以下に示されるような幾つかの環境脆化の抑止法を見いだすと共にその機構を解明した。 1. Ni_3(Si,Ti)に微量のボロンと炭素を添加することにより環境脆化を完全に抑止することが出来た。2. Ni_3(Si,Ti)にat.%レベルのCr,Mn,Feを合金化することにより環境脆化を完全に抑制することが出来た。3. Ni_3(Si,Ti)において、前変形を与えることにより完全に環境脆化が抑制されることを発見した。4. Ni_3(Si,Ti)の表面をショットピーニング加工することにより環境脆化を著しく低減させる実用的方法を見いだした。5. Ni_3(Si,Ti)の表面に,Niメッキ膜を付与させさらに適切な熱処理により環境脆化を抑制させることに成功した。 これら水素脆化の抑止例は,他の多くの金属間化合物でも、成分の制御,側面改質さらには結晶欠陥の制御により,環境脆化の抑制が可能であることを示唆している。また、金属間化合物表面での電気化学,金属間化合物中での成分元素と水素との相互作用,あるいは格子欠陥と水素との相互作用に関する基礎的研究が今後重要であることが指摘される。
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