Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
ポリビニルアルコール(PVA)はビニロンや接着剤などの原料として、工業的に安価に大量生産されており、生物に対する毒性がないため、生体触媒の固定化担体として有用であり、廃水処理をはじめとして様々にその応用が検討されている。申請者らもこれまで、反復凍結融解法により調製したPVAゲルへの生体触媒の固定化について研究し、その有用性について明らかにしてきた。(Arigaら,J.Ferment.Technol.,65,651-658(1987),Arigaら,J.Ferment.Bioeng.,68,293-295(1989)申請者らは最近、冷却したメタノール中にPVA溶液を滴下することによって、PVAカプセルが作製できることを見出し、PVAカプセル中に酵素を固定化し、活性、安定性等に対するカプセル調製条件の影響を検討した。(Arigaら,J.Ferment.Bioeng.,78,74-78(1994)カプセルはタンパク質などの分子量の大きな分子の物質移動に対して、ゲル状固定化担体に比べ有利であり、これまで様々に研究されてきた。しかしながら、PVAカプセルについてはこれまで、その調製の試みさえ報告がない。 また、植物細胞の固定化については十分研究されているとは言えず、簡便な新しい固定化法の開発が望まれていた。そこで、本研究のではタバコ細胞をモデル細胞として、PVAカプセルへの植物細胞の固定化を試み、最適固定化条件を検討するとともに、固定化植物細胞による生理活性物質の生産について検討した。 タバコ細胞はメタノール中での固定化にも関わらず、PVAカプセル中において増殖し、二次代謝産物であるスコポレチンを生産することが分かった。スコポレチンの繰返し生産を試みるため、繰返し回分培養を行なったが、スコポレチンの生産に対して培地交換の影響が見られた。そこで、培地の交換率を検討したところ、繰返し生産することができた。 以上のようにPVAカプセルは植物細胞の固定化担体として有用であり、培養条件を最適に制御することにより有用二次代謝産物を連続的に生産することが可能と思われる。
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